25 冒険者ランク2
ひとしきりレイのもふもふを堪能していたら日が傾き始めていた。そろそろ街に戻らないとログアウトする時間になってしまう。
そういえば討伐は達成になったんだろうか。
急いでメニューを開いてクエストを確認する。するとキングウルフの討伐はクリア扱いになっていた。とりあえず安堵してそのことを知らせるために絶賛レイのお腹に顔を埋もれさせているユウさんを引き剥がした。
「ユウさん、討伐クエストクリアになってますよ。」
「あっ…。うん…。」
完全に目が閉じている。天国に行きかけてる顔だ。起こさなきゃ。
「起きて、ユウさん。起きないともうもふもふ禁止しますよ。」
その言葉に反応して目が見開いた。普段でさえ半目しか開いてない気がするのにこの反応だ、やっぱりもふもふ中毒者なのかもしれない。
「ユウさんもクリアになってるの?」
「うん…、大丈夫…。」
あ、目がいつもの半目に戻った。美人だったのにもったいない。もうちょっと見ていたかったな。
「私達はこのまま街に戻って報告しに行くけど、ユウさんはどうするの?」
「私もついてく…。」
その後も一緒に歩きながらステータスやスキルなどゲームのことについていろいろ相談してみた。ほとんどの人はやりたいプレイに合わせてスキルを取ったりステータスを振っているらしい。自分の空いたスキル枠に何を取ったがいいのか聞いてみたが、特殊すぎてアドバイスできないと言われた。
むしろ何がしたいか聞かれたのでもふもふを集めたいって答えたら笑われてしまった。その後ユウさんはおすすめのスキルをいくつか挙げてくれた。どれもこれも的確に欲しいスキルを勧めてくれた。
そんな会話をしながら道中のシルバーウルフとレイを戦わせてみたが、やはり相手にすらならないくらい瞬殺だった。3匹の群れだったが、レイは遠吠えと風纏いを使いフルスロットルで飛び込んでいった。最初は右フックで1匹、次はそのまま噛み付いて1匹、最後は左前足で踏みつけて1匹。華麗な3コンボだった。
ま、ですよねー。コイツラのボスだもんね、きみ。今までなかった戦闘向けの仲間が増えて嬉しくなったけど、強すぎでは?
その後もレイとユウさんがモンスターのほとんどを倒してくれてスムーズに帰ることができた。街に入る前にテイムモンスター達を結晶化させたときのユウさんの悲しげな顔が少し面白かった。
ギルドに着いたらそれぞれ受付で報告をし、無事冒険者ランク2になった。今後は東西南北の草原の先に行けるようになったようだった。それに合わせてクエストを発行された。
《ギルド物資の運搬》
・依頼人:ギルド員
・依頼内容:東西南北の先にあるどれかの町へ荷物の運搬をお願いします。あちらのギルドへの紹介状もお渡ししますのでついでに挨拶をしてきてください。荷物は城門にて警備の兵士より受取ください。重いため複数人での運搬か台車や荷車をレンタルして行ってください。
※物資は最低重量40 重量に応じて報酬が増加します。
クエストの内容を確認していたらユウさんも報告が終わったようで。
「ユウさん、今日はありがとうございました。」
「私の方こそ…、ありがとう…。」
「私は今日はログアウトしますけど、ユウさんは?」
「うん…、私も今日は寝る…。そうだ、アカリ…。フレンド登録しよう…。」
「あ、今フレンド申請送りますね。」
すっかり忘れていた機能を思い出して、慣れないながらも操作してユウさんに申請を送った。送ってすぐ承諾され無事フレンド登録が完了した。
「あと、アカリに会わせたい人がいるから…、今度連絡するよ…。」
「う、うん。わかりました。」
えっと、どんな人に会わせる気だろう。怖い人じゃないといいけど。
「じゃ、今日はここで…、またね。」
「はい、ありがとうございました。」
そう言ってお辞儀をするとユウさんはログアウトしていった。それに続いて私も今日はログアウトしたのだった。
|ω=) 天国に行きかけてる顔
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