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24 キングウルフ


何かがおかしい。私はそう感じてしまった。

今も目の前でウサ吉とキングウルフが衝突しあっているのだが、その様子はなぜか殺気立っていなかった。どこかで見たことがあるような風景に少しヤキモキしながらウサ吉達の戦闘を見守る。


次から次へとポータルを出しすぎたせいで、今やどれがどこに繋がっているのか全く把握ができなくなっていた。だがウサ吉はすべて把握しているのか勢いよくポータルから出てきてはキングウルフとぶつかって、跳ね返されてはポータルに入ってをうまく繰り返している。


「行けー、ウサ吉ー!そこだー!」


スタミナも切れできることがなくなったため座って応援して見守ることしかできない。にしてもキングウルフのやつめ、うまくウサ吉の体当たりを口や前足を使ってきれいに弾き飛ばしている。


あっ、その軌道だと当たらないんじゃないかな。ウサ吉も間違えるんだね。

キングウルフの頭上を通るその時だった。わざわざキングウルフはジャンプをし鼻先でウサ吉を弾いたのだった。そしてその瞬間私の違和感の正体が判明した。ボール遊びをする犬と光景が全く一緒だったのだ。


「アカリ…、こっちは終わった…。」


「うわっ!」


座って応援していたら後ろから急に声をかけられてびっくりした。


「ごめん…、驚かせて…。」


「いえいえ、全然大丈夫。ちょっと考え事してて。」


「今からそっちの加勢するね…。」


ユウさんからの提案に慌てて私は止めに入った。


「待って、ユウさん。その必要はないかも。」


「どういうこと…?」


キョトンとした顔でこちらを見つめてくるユウさんに私は続けて説明した。


「勘だけどたぶんあの2匹、今は戦ってるってより遊んでる気がするんだ。もうちょっと見てて。」


私の言葉にうなずいて、戦闘態勢を取ったままユウさんも私の横で2匹を見守った。相変わらず飛んでくるウサ吉をキングウルフが器用に打ち返している。

私はウサ吉をアポートで自分の前に引き寄せてキングウルフの様子を見た。キングウルフはお座りをして尻尾をブンブン振って待っていた。口からは舌を出し肩で息をしながらそわそわした雰囲気をかもし出していた。


「ユウさん、私この子をテイムしてみてもいいかな?」


「うん…、いいよ、好きにして…。」


「もし討伐の依頼が進まなかったらごめんね、また一緒に行くから。」


立ち上がってゆっくりとキングウルフに近寄る。変わることなくお座りしているキングウルフに向かって私はテイムを唱えた。


「テイム!」


《テイムに成功しました》

《アカリのレベルが上がりました、ステータスポイントを10獲得しました》

《スキルレベルが上昇しました》


どうやら成功したようだった。ユウさんの方を見ると小さく拍手してくれていた。名前どうしようかな。


「ユウさん、せっかくだから名前考えてほしいんだけど。」


なんとなくユウさんに無茶振りしたくなって提案してみた。


「そうだね…。レイでどうかな…。」


「レイ!いいね、決定。」


私のネーミングセンスがないのはもうわかり切っているのでユウさんに任せて正解だった。


【レイ】(キングウルフ)Lv5

体力(HP)   200/210

スタミナ(ST) 180/180

筋力(STR)   60

知力(INT)   40

俊敏性(AGI)  70

器用さ(DEX)  20

重量(WT)   40


スキル:<遠吠え:Lv1> <パリィ:Lv1> <風纏い:Lv1>


なんだろう、ステータスがすごく高いんだけど。ボスだからそんなもんなのかな。

スキルに関しては、まずは遠吠え。これは味方全員にスキルレベル✕10%の与ダメージアップとスキルレベル✕5%の被ダメージ軽減だそうだ。これがあのバフの正体なんだろうな。

パリィはユウさんが取っているスキルと同じなんだろう。相手の攻撃を弾いて防ぐスキルと説明があった。

風纏いは一定時間自分の攻撃に風属性を付与するというものだった。


ユウさんにステータスを見せようと思ったが、すでにユウさんはレイに抱きついていた。ずるい、私も抱きつきたいのに。私もレイに跳びついた。


たしかにこの手触りは癖になりそうだった。昔から大きな犬を枕に寝たいと思っていたけど夢が叶いそうだ、狼だけど。

シルバーウルフよりも少し暗めの灰色に全体的に長めの体毛はつやがあり日光を少し反射していた。お腹側はシルバーウルフ同様に背中側よりは白っぽくなっていて柔らかそうな印象だった。首周りの毛は特にふさふさで撫で心地が最高である。尻尾は長めの毛でサラサラって感じだ。


「ユウさん、レイのステータス凄いよ。」


「んー…、そだねー…。凄い手触りだよね…。」


全く聞いていないなこれ、私も大概だけどユウさんのほうがモフモフに目がないのかもしれない。

そう言えば私のレベルも上がってるんだった。


【アカリ】Lv5

体力(HP)   75/75→75/80

スタミナ(ST) 5/75→5/80

筋力(STR)   16→18

知力(INT)   16→18

俊敏性(AGI)  26→28

器用さ(DEX)  16→18

重量(WT)   16→18


ステータスポイント:20

スキル:<テイム:Lv5> <隠密:Lv5> <転移魔法:Lv5> < >


装備:質素な魔導書、レッドボアの革装備


テイムの新しい能力として鼓舞っていうのを覚えた。能力はテイムモンスターの与ダメージをスキルレベル✕5%上昇させるものだった。レイの遠吠えと重複するのだろうか?

隠密も新しく能力が増えた、内容はPTの全員に隠密の能力を付与できるようになったそうだ。

あとはスキル枠が一つ増えたけど何にしようかまだ決めてないんだよな、後でユウさんに相談してみよう。


ステータス画面を閉じてまたレイのお腹に顔を埋めるのであった。

|ω・) ピレニーズに埋もれて寝たい

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