20 シルバーウルフ
ここまで閲読ありがとうございます。どれくらいの方がここまで読んでいるのか気になるので、よければ最後にいいね押して行ってくれるとありがたいです。
岩場に望遠鏡を向けて覗くとそこには薄灰色のもふもふがいっぱいいた。
全身を白っぽい灰色の長めの毛に被われていて、顔の頬の辺りと足先は真っ白、逆に尻尾の先は暗めの灰色になっている。体長1.6mくらいの4足歩行で、身軽な動きで岩場の周りをウロウロしている。頭の上にはシルバーウルフと表示されていた。
「探していたシルバーウルフで間違いないみたいだね。にしても凛々しい中に可愛さのある風貌だね。岩の上で日向ぼっこしてて可愛いですねー。あー、こっちはお互いに毛づくろいしてるー。わ、私も加わりたい。うぐぐっ…」
撫で回したい欲をぐっとこらえて一旦気持ちを整理した。
「危ない危ない、飛び出してしまうところだった。落ち着けー、私。にしてもいい毛並みをしているね。太陽で少し光沢が出ていて、見方によっては銀色に透けて見える。だからシルバーウルフなのかな。」
観察をしていると、1匹を残して他の3匹のシルバーウルフたちは草原の上でじゃれ合い出した。今がチャンスと思い私は戦闘の準備のために魔導書に魔法をセットし始めた。
ワープ、ポータル、アポートの3つをセットし終えたのでウサ吉を手に抱いて社員さんと一緒に少しずつ前進した。一つ手前の岩陰までなんとか移動し、再び様子を確認した。
相変わらず1匹は監視役をしているが、他の子達は楽しそうに走り回っている。
静かにポータルの罠をシルバーウルフたちとの中間辺りに設置し、ウサ吉に指示を出した。
「ウサ吉、あそこにいるシルバーウルフたちを罠まで誘導してもらえるかな?」
「キュッ!」
元気よく跳び出していったウサ吉を見送ってことの成り行きを見守った。
ウサ吉が罠の横を通り、シルバーウルフ達がいる岩場に近づく。あと5mくらいのとこまで行くと、見張りのシルバーウルフがウサ吉に気づき雄叫びを上げた。それを聞きつけて走り回っていた子たちも雄叫びを上げる。
「ワオーン」
「「「ワオォーーン」」」
雄叫びに少し驚いたのか、一瞬だけウサ吉の動きが止まった。その後気を取り直したのか急いで引き返してきた。
全力で走ってくるシルバーウルフたちからなんとか逃げるようにウサ吉が罠の方へ走ってくる。ウサ吉の後方3mほどからどんどん距離が縮まっているなか、ウサ吉は罠の上を飛び越えた。よし、あとは奴らが罠に入るだけ。
先頭のシルバーウルフが罠に入る直前だった、急停止したかと思うと一吠えすると軽々とジャンプして罠を飛び越えられた。
やばい、コイツラ賢いな。えとえと、どうしよう。とりあえずウサ吉に急いで指示を出す。
「にげてー、ウサ吉!」
ウサ吉はうなずいて全速力で草原を走り回るが、だんだんと追いつかれていく。
えとえと、どうしよう。あー、ウサ吉が噛まれた。どうすれば、あっそうだ。
「アポート!」
ウサ吉を自分の手元に瞬間移動させた。なんとかなったと思ったのもつかの間だった。シルバーウルフたちは方向転換してこちらへ向かってくる。
とりあえず逃げなきゃと思い、全力でシルバーウルフたちとは反対側に走り出した。
しかし逃げれるわけもなくシルバーウルフたちに追いつかれる。先頭のシルバーウルフが吠えると3匹のシルバーウルフ達が私達を囲うように回り込まれた。ここまでかと思い止って戦闘態勢を取ってシルバーウルフたちと睨み合った。
すると背後から何かが走ってくるような足音がしたので振り返ると、シルバーウルフが断末魔とともにポリゴンになって消えていった。
そこにはドロップしたアイテムと一人の女性が立っていた。
「大丈夫…?」
|ω・)滑り込みセーフ(アウトだよ!
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