01 ゲームスタート?
今日はルンルン気分で帰路につく。夕日に空が染められていた。
なんたって今日は待ちに待ったゲームの発売日だから。
大学生にもなってゲームで浮かれるなんてって思うかもしれないけれど、私にとっては夢を叶えられるゲームなのだから許してほしい。
「今日はごめんね、また来るからね。」
そう言って帰り道にあるペットショップも今日はスルーして足早に帰るのだ。
左手には大きな箱の入ったビニール袋をぶら下げている。中には3ヶ月分のバイト代で買ったフルダイブVR機器とゲームがセットで入っているから落とすものならその場で泣き崩れるだろう。
そんな事を考えながら家に着いた。
早くゲームをやりたい気持ちを抑えて靴を脱ぎ捨てた。勢いよく服を投げやって部屋着に着替えた。
いち早くベッドに飛び込み、買ってきた大きな箱を開封していく。一つ一つ箱を開けながら説明書通りにVR機器を組み立てた。ヘルメットの形をした機械にケーブルなどを接続していった。
わたわたしながら準備を終えてベッドに寝っ転がりながらVR機器を被って電源を入れた。
「ゲームスタート!」
と言いながら起動したが、映し出された画面にはインストールの文字が映った。残念ながらまだ始められないようだった。
インストールが終わるのを待ちながらこれから始まるもふもふ生活に思いを馳せた。普段はあまりゲームをやるわけではないのだが、ある日見たこのゲームのCMのほんの一瞬が私の心を鷲掴みにした。そのCMの中にはなんと大きなオオカミを手懐けるシーンがあったのだ。後々調べたところ、ゲーム内に現れるモンスターをテイムできるのだ。
私は小さな頃から動物が大好きだったのだが、家の都合でペットは禁止だった。なので近くの動物園のふれあいコーナーに通ってはもふもふ成分を補充したり、ペットショップの前を通るたびに子犬を眺めてはもふもふするのを想像して心を落ち着かせていた。もふもふこそが私の生きる意味だと思っている、もふもふは世界を救うと言っても過言ではない。
そんなこんなでインストールが終わり、画面には準備完了の文字が表示された。
ここから私のもふもふライフが始まるんだと意気込みながらスタートボタンを押し、意識がゲームの中へ吸い込まれていくのだった。
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