16 落下トラップ
さてと、ウサ吉のほうはレッドボアに追われながらポータルの上を飛び越えた。後ろから着いてくるレッドボアたちは止まることなくポータルへ落ちていった。ここまではいつも通りだが、ここからはちょっと違う。
出口の方のポータルを地面に向けてではなく、入り口に向けて設置してある。これで入ったレッドボアたちはポータルが消えるまで一生上から下に落ち続けることになる。
ポータルは性質上、入ったときの勢いのまま出てくる。つまり上下に向かい合わせにすると重力で加速しながら落下していくことを繰り返す。
今も目の前でレッドボアたちは上から下へどんどん速くなりながら落下を繰り返している。あとはこのままポータルが消えるのを待つだけなのだけど、もうすでに凄い加速で落ちて行っている。流石にこれはオーバーキルになるだろう。
ウサ吉と社員さんを一応待機させ眺めていると、ポータルの効果が切れてレッドボアたちが空から落ちてくる。
ドコンッ
爆音と共に地面に叩きつけられたレッドボアたちは跡形もなく消え、アイテムだけが残っていた。
我ながらなかなかに完璧な罠になったのではと、思いついた私に称賛を送った。ただし今後飛べたり浮いてたりするモンスターがいるなら使えないかもしれない。
実験がうまく行ったことを喜びながらその後は調子に乗ってレッドボアを見つけてはポータルに落として倒していった。おかげでお肉と革と経験値が大量に入った。
《アカリのレベルが上がりました、ステータスポイントを10獲得しました》
《スキルレベルが上昇しました》
【アカリ】Lv4
体力(HP) 70/70→70/75
スタミナ(ST) 15/70→15/75
筋力(STR) 14→16
知力(INT) 14→16
俊敏性(AGI) 24→26
器用さ(DEX) 14→16
重量(WT) 14→16
ステータスポイント:10
スキル:<テイム:Lv4> <隠密:Lv4> <転移魔法:Lv5>
装備:質素な魔導書、質素な革防具
順調にステータスが伸びて行っている、ポイントは一旦保留にして必要になってから考えよう。
戦闘のたびに転移魔法を使用しているためか他のスキルよりレベルの上がりが早い。そして新しい魔法も使えるようになった。
転移魔法:アポート
周囲にいる味方や物を指定した場所に瞬間移動させる。
今まで覚えていたワープは自分のみだったが、これは逆に自分以外を瞬間移動させる魔法だ。さっそくアポートを詠唱して魔導書にセットした。
「ウサ吉、あそこまでダッシュ!」
ウサ吉は了解とばかりにうなずいて指さした木に向かって走った。
「アポート!」
走っていたウサ吉は消え、私の手元に瞬間移動した。ウサ吉には何も伝えてなかったので少し驚いているが、どうやら成功のようだ。
使い方は最初に対象を指定して、次に場所を指定する。ワープからは一手間増えただけで使い方はほぼ同じだった。
使用感も確かめられたのでほくほく顔で北側の城門から街へ帰って今日はログアウトした。
|ω・)間に合った
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更新は毎週火曜と金曜を予定してます。