14 ガッツキノコ
社員さんを撫で回しながゲーム内では初めての朝日を拝んだ。
眩しい太陽に目を薄めながら日が昇るのを眺めていたら、隣りにいた社員さんも光りだした。黒いガラスのような角は今は光を少し反射して輝いていた。
それと同時期くらいに周囲のアチラコチラでも光りが漏れ出した。意外と多くのシャインディアが周囲にいたことにびっくりしつつもこのきれいに輝く草原に見惚れてしまった。
倒したシャインディアの角を回収した。
【シャインディアの角:光を受けると吸収する、魔法適正の高い素材】
社員さんの体力が心もとないので一旦魔結晶に戻し、またウサ吉と二人で歩き出した。今はちょうど城門の北東辺りにいるので今日はそのまま北側の城門まで探索してみよう。
腰ぐらいまであった草むらもだんだんと低くなり見通しが良くなってきた。抱きかかえていたウサ吉を降ろすと早速どっかへ走り去っていった。また収集しにいってくれてるのだろう。そろそろヒールベリーでポーチがいっぱいになりつつあるのだが。
すぐに帰ってきたウサ吉が咥えているものをいつも通り回収した。ようく見ると今回はヒールベリーとは別のアイテムのようだった。
【ガッツキノコ:少量のスタミナ回復効果のある食べ物、スタミナ薬の材料になる】
真っ赤な色をしたキノコだった。ウサ吉に念のため食べるのか聞いてみたが違ったようだ。首を横にブンブン振って否定された。あまりお気に召さないらしい。更にポーチを圧迫していくのかと思いながら代わりにヒールベリーを出してウサ吉に渡してあげた。街に戻ったらある程度売り払ってしまいましょう。
そんなことを考えながら歩いていると北側の城門が見えてきた、辺りには見たことのないイノシシ型のモンスターがちらほら歩き回っている。体長は1mほどで背面は赤茶色の毛に被われていて腹部はクリーム色をしている。口からは牙が伸びており大きな鼻が地面を嗅ぎ回っている。
まだ気づかれていないようなので一旦魔導書にいつもの2つの魔法をセットし様子をうかがう。一番近くにいたやつがだんだんと近づいてくるので隠密も発動し息をひそめる。
とうとう名前の見える距離まで来たが、モンスター名はどうやらレッドボアというらしい。何かを探しながらこちらへ寄ってくる。
そしてなにかに気づいたのかこちらへ一直線に進んできた。やばい、バレた。加速し突進してくるレッドボアに慌ててワープを発動し、レッドボアの後ろに瞬間移動した。
「あっ、ウサ吉!」
急だったっこともありウサ吉の存在を忘れていた。レッドボアに勢いよく撥ねられてウサ吉は空高く飛んでいった。体力はなんとか残っているようで空中でなんとか体制を立て直していた。
落下地点に私はポータルを設置し、ウサ吉に指示を出す。
「ウサ吉、ポータルにキックしながら突っ込んで!」
うなずくウサ吉を見てから、突進していったレッドボアに目を向けた。レッドボアの方は急停止しながらこっちへ向き直ろうとしていた。
私はポータルの出口をレッドボアの真上に設置した。するとものすごい勢いで飛び出てきたウサ吉がレッドボアの眉間に目掛けてライダーキックを放った。
ふぎゃっというレッドボアの悲鳴とともにポリゴンになって消えていった。ウサ吉はくるっと空中で身を翻して着地した。
|ω・)主人公の話し相手がほしい今日このごろ
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