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133 まだ他にもいろいろ出来たのに…


「なんでこんな数…、せっかく巣から離れた場所まで来たのに…。」


探知魔法には来た道をびっしり埋め尽くす数の敵反応で溢れていた。


「やっぱ音に反応して集まってきたんでしょうか?」


「う…、そうかもね…。サウンドボール!」


「どうします?逃げますか?ポータル!」


ユウさんがソルジャーをまとめて爆撃し、私はシューターの飛ばしてくる溶解液をポータルで跳ね返す。しかし、返した溶解液は全く効いていないようだった。ま、自分が出したものでダメージ受けるなんて都合がいいことはないようだった。


「逃げたところで追いつかれそうだけど…、どうにか足止めできれば…。」


ミニマップに写ってる地図によるとこの先も一本道が続くみたい。このまま逃げたとしてもずっと追われることになる。だが私には考えがあった。


「大丈夫です、私に任せてください。」


「任せてって…、どうするの?」


「転移で町に戻ります!ただ詠唱に時間かかるんですよね。」


そう、レベルアップしたことによって転移魔法も使えるものが増えている。名前はマスリターン、パーティー全員を対象に最寄りの拠点まで一気に転移する。


「そっか…、それなら…。サウンドボール!」


ギュィンィーン


急にギターをかき鳴らして、周囲に音魔法をばらまき出す。無数に飛んでいく音の爆弾は坑道の壁にどんどん当たっていく。


パラッ、パラパラ、ガラガラガラー、ドシャーン


岩の壁が崩れ落ちた。無数の岩が雪崩れるように落ちていき、坑道を塞いでしまった。落ちた岩に戦っていた先頭のジャイアントアントたちは潰されたみたいだった。奥にいた個体も何匹かは巻き込まれたように見えた。


「これでしばらくは大丈夫かな…。」


「ってそんな方法あるなら最初からやればよかったんじゃ?!」


「いや、それだと帰れなくなると思って…。」


「確かに。とりあえずもうすぐ発動できるので帰りましょう。」


「あ、待って…、これ忘れてる…。」


そう言って指さした先には外されて置きっぱになっていたモカさんに荷車だった。すぐにモカさんを向かわせてユウさんに装着してもらう。装備が終わったところでマスリターンを発動してさっさと離脱したのだった。



暗転が挟まり移り変わった景色はゴルンの町を出てすぐのところだった。


「ふぅ、脱出できましたね。まぁ、散々な目に遭いましたけど。」


「ごめん…、ほとんど私が招いたようなもの…。」


「いやいや、知らなかったわけですし仕方ないですよ。それに新しいその戦闘スタイルかっこよかったですよ!」


実際、ギターを弾くユウさんはかっこよかった。


「せっかく習得したのにこれじゃ…。まだ他にもいろいろ出来たのに…。」ブツブツ


「ま、まだイベント始まったばっかりですし、今後活躍できますって!」


落ち込むユウさんをなだめる。その場でしゃがんで膝を抱えるユウさんをなんとか荷車に乗せてギルドまで帰る。町は出発したときよりも人の数が増えているみたいだった、あっちこっちに人だかりができていた。どうやら屋台を出しているプレイヤーが出てきているようだった。


「ただいま戻りました。」


「おかえり~。」「おかかー。」「おかえりなさいです。」


ギルドのエントランスに荷車を置いて、ユウさんを引きずりながら2階のクラン用の部屋まで帰ってきた。


「どうだった~?」


「大変でした。少しは鉱石類を確保できたんですけど、アリの大群に襲われちゃって。」


「それは大変だったわね~、それでユウは何かあったの~?」


「それがカクカクシカジカで。」


一通り起こったことを話していった。


「音に反応して集まってくるのか、それは厄介だな。」


「それは災難だったね~。せっかく張り切ってたのに、それはいじけちゃうわね~。」


「そっとしておきましょう。」


「そっちのチームはどうだったんです?」


「ん?こっちは問題なく帰ってこれたぜ。ほれ、この通り。」


そこには大量の丸太や、薪になりそうな枝。それに大量の枯れ葉?が積んであった。あとはバケツに赤っぽい土が入っていた。


「万蔵に腐葉土にしてもらうかと思いまして。こっちは赤土ですね、偶然見つかってついでに取ってきたんです。」


疑問に思っていたらハルカちゃんが答えてくれた。ちなみに万蔵と言うのは先日捕まえたマックタートルの名前だ。決まるまでに2日くらいかかったんだよね。


「これで陶器なんかもできるわね~。ハルカちゃん用の鉢にでもしましょうかね~。」


「おいおい、それよりうちの調理道具が先だろ?すぐ作ってくれるって言ったから替えがきくものは置いてきたんだぜ。」


「はいはい、わかってますよ~。作りますから、材料運ぶくらいは手伝ってよね~。ってことだから、少し待ってくれるかしら~?」


「え、ええ、私は大丈夫ですよ。」


「あ、そうだ~。その間に町に出て情報収集してくれるかしら~?私がしたいとこだけど、しばらく動けないだろうから~。一人じゃ心配だからリーダーも付いてってあげて~。」


「いいですよ。でもユウさんはどうしましょうか?」


「放って置いていいわよ~、そのうち復活するから~。」


「は、はぁ。わかりました。」


雑に扱われるユウさんを尻目にまた町に駆け出すのだった。

|ω・) 来週はいっぱい書く(フラグ

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