131 炭鉱町、ゴルン
「ようこそおいでくださいました、討伐隊の方々。ご存知の通り、ここ炭鉱町、ゴルンではジャイアントアントの巣が見つかり開発が止まっています。どうか、アリ達の駆除をお願いいたします。」
イベントが開始された日の夜、みんなで集合して一緒にスタートした。ロードが終わると知らない部屋に転移し。目の前の木製のカウンターの奥に居る女性が話しだしたのだった。
「ここはゴルンの仮設ギルドになっております。あちらの奥の階段を登ると個人用の部屋とクラン用の部屋を用意しております。各部屋ご自由にお使いください。」
ギルド員さんの示す先には2階に繋がる階段が伸びていた。イベント中の住居として使っていいみたいだ。
「今回の依頼報酬ですが、まずジャイアントアントを10体討伐するごとに1000ゴールドの支払いをいたします。また、女王を討伐し巣の駆除に成功しましたら、参加して頂いた方全員に別途報酬を支給いたします。」
目の前にウィンドウ画面が表示され、簡易的なイラスト付きの説明映像が流れた。
「討伐に必要な資材は周辺地域からご自由に採取等して頂いてかまいません。詳しい地図をご用意しておりますので、ご活用ください。」
するとウィンドウ画面の映像が変わり、この辺一帯の地図に変わった。
「また、アイテムの取引等は一旦こちらのカウンターにて仲介させていただきますので、ご了承下さい。」
プレイヤー間の売買などはここでするようだ。
「これにて説明は以上になります。何か、他に質問などはございますでしょうか?困ったことがあればいつでもご相談ください。それでは、どうかこの町の危機をお救いくださることを願っております。」
そうしてチュートリアルは終了したようだった。
「さてと〜、まずは荷物を預けに部屋に行きましょうか。」
打ち合わせ通りに重量制限いっぱいにルリさんの製作道具を持ってきていた私達はクラン用の部屋に移動することにした。階段を上り部屋に入ると、意外にも広い部屋が用意されていた。
「これならクラフト設備一式置いても大丈夫そうね〜。」
「うちのキッチンスペースも足りそうだな。」
「それじゃ〜持ってきたものを一旦出してもらえるかしら〜?」
「「はーい」」
ルリさんの指示に従って各々荷物を置いていった。持ってきたものとしては簡素な作業台や金床、あとは多数のレンガ。どれも重くて苦労した。
「それでこれからどうしますか?」
「そうね〜。私は窯の組み立てをするから、その間に石炭と金属類の確保をリーダーとユウに、木材の確保をルンとアカリちゃんにお願いしようかな〜。」
「鉱山に行けばあるかな?」
「ん…、とりあえず行ってみよう。」
「木材ってどんなのがいいんです?」
「針葉樹がいいかな〜。出来るだけ太くて固そうな木を探して来てね〜。」
そうして二手に別れて行動することになった。
ギルドを出ると、そこには大勢のプレイヤーが往来していた。どうやらギルド内はクランメンバーのみのスペースになるようだった。確かに全員が同じ町に来るのだから、共有してたら人で建物内が埋まってしまうだろう。
「にしても多いですね。」
「ま、イベントだからね…。鉱山はあっちみたいな…。」
地図を見なが町を出る。少し歩くとすぐに坑道の入口に着いた。周囲のプレイヤーを見るとやる気に満ち溢れた眼差しの人が多く、どうやらアリの巣もこの先にあるようでみな今から討伐に向かうのだろう。迷路のような坑道を地図を頼りに進んでいく。今の私達の目的は討伐ではないので、なるべく巣とは反対方向に向うことにした。
「お、これは採掘ポイントだらけだー。おいで、マル。採掘お願い。」
坑道の先端まで行くと、そこは鉱石の山だった。丸まったマルがガリガリと鉱石を掘り出してくれる。
「にしても多いね、ほどほどにしないと持って帰れない…。」
「モカさん、おいで。あとカスミも。」
ンモー、ホウッ
「荷車持ってきて正解ですね。カスミは、マルが掘ったもの持ってきてくれる?」
モカさんに荷車を取り付けつつ、成果物を私とユウさんも手伝いながらどんどん積載していく。そんな感じでルリさんの注文通りに鉱石類を集めている時だった。ガリガリと採掘音をさせていたせいなのか奴らがやってきたのだった。
|ω・) なつだー、にげろー
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