130 作戦会議?
「おーっす、お待たせ。」
「時間ぎりぎり…。」
「まぁまぁ〜、間に合ったんだからいいじゃない。」
「そうそう、間に合ったんだから。それにいい物作ってきたんだぜー。」
そう言ってルンは抱えていたバスケットをテーブルの上に置いて、上にかかっていた布を取った。中には色とりどりのフルーツと生クリームがたっぷり挟まったフルーツサンドが並んでいた。
「まぁ、許す…。」
そう言って早速手を伸ばすユウさん。
「さ、みんなも食べて食べて。」
「「はーい。」」
「それじゃ食べながらになるけど、今度のイベントの作戦会議を始めるわね〜。」
ルリさんはホワイトボードと指差し棒を出して説明を始める。
「今回のイベントは全員協力の討伐イベントね〜。目標はジャイアントアントの女王ね〜、大きな迷路状のアリの巣の最深部を目指す形になるわね〜。全員協力と言ってもパーティはいつも通り6名までね〜、別パーティ同士協力も出来るだろうけど、巣穴の大きさからして大人数で一気にって言う風には行かなさそうなのよね〜。だからそれぞれ攻略を進めながらお互い情報共有していこうって流れになってるわね~。」
「それじゃ、私達もその攻略を進めていけばいいって感じなのかな?」
「そうね~、そこを決めたくて今回の会議ってわけなんだけど~。クランとしてどう攻略を進めるか決めておきたいのよね~。」
「と言いますと?」
「戦闘だけが攻略じゃないのよ~、舞台となる町に期間中は閉じ込められるわけで、その中で生活することになるんだよね~。となるとインフラを支える人たちも必要になるわけね~。」
「でも、インフラっつても装備とかも持ち込めるんだろ?何が必要になるんだ?」
「そうね〜、まずは回復薬なんかの消耗品の供給が必要になるわね〜。あと、食事は必須じゃないだろうけど効果が大きいから、これなしでの攻略を想定されてないでしょうね〜。だからそのための食材確保なんかもしなきゃいけなくなるわね〜。」
「でも、それでも一部の生産系の必要性がない…、特に鍛冶とか大工とか…。」
「そうなのよね〜、だから憶測にはなるんだけど、現地で蟻に有効な素材が手に入って〜。その素材で装備を作る必要が出来たりするんじゃないかとは言われてるわね〜。」
「つまり、何らかの形でどんな人でも貢献出来るようになってるはず、っと?」
「そう言うこと〜。」
「誰でも貢献出来るってのはわかったけど、支援するだけってのも何かモチベ上がらんよなー。やっぱ対価がないと。でもゴールドの持ち込み出来ないんだったよね?」
「ええ、イベントに参加すると一時的に所持金が0になるそうよ〜。でも、それだと経済が回らないだろうから、何らかの手段でゴールドが手に入るんだと思うわ〜。」
「でも、なんでお金の持ち込み出来ないんでしょうか?」
「たぶん格差を無くすためだと思う…、一部がアイテムの独占するのを防止し出来るし…。」
「運営的には経済を回して町の発展を活発にして欲しいんだと思うわ〜。」
「それじゃうちらも何か商いして稼ぐか?」
「そうだね、戦闘面よりそっちのがいいよね。」
「ただ、一つ問題があるのよね〜。」
「問題ってなんですか?」
「全プレイヤーが集まるって事はそれぞれの専門分野にしてるクランが一同に集まるってことなのよね〜。となると、その人達と商売被るのもね~。」
「確かにそうですね。」
「ま、考えても仕方ないんじゃね?うちらみたいな小さいクランなら好きなことやって楽しんでもバチ当たらんだろ。上手く行ったら儲けもんくらいで。」
「とりあえず、何が必要になるかわかんないんだったら…。何でも作れるルリのクラフト設備を揃えておけば対応出来ると思う…。」
「そうですね、各自必要最低限の荷物と残りはルリさんの道具類を持ち込んで、あとは現地調達ってことで。」
「え〜、結局それって私に丸投げってことじゃない〜!考えがまとまらないからこうやって会議してるのに〜。」
「考えがまとまらないならどうなってもいいようにするのがベストだろ?」
「じゃ、私とルンとユウさんは重量の許す範囲でルリさんの荷物を持ち込んで。ハルカちゃんはあっちで需要がありそうな作物の種をルンと相談して選んで。」
「うん…。」「おう!」「は、はい!」
「現地についたらルリさんの工房の立ち上げをみんなでサポートしながら攻略の様子見。目標としては適度にイベントを楽しむってことで。」
「ちょっと〜、まだ私は〜。」
「全力でルリさんのサポートをするぞー!」
「「「おおー!!」」」
「も〜。」
こうしてなかば強引に会議を終わらせてサンドイッチ争奪戦に移行するのであった。
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