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126 硬いんだね


「泥山が動いた?!」


中央の噴出口から周囲に出た泥が積み重なって半球状の山になっていたと思っていたそれは急に動き出した。泥の中から4本の太い足が生えてきて、最後に1本の長い首が姿を現した。ゆっくりとした動きで旋回し、こちらに顔を向けて来た。


「とりあえず攻撃は考えずに、防御優先で。刺激しないようにね。」


「は、はい!」


こちらを見つめじっくりと観察しているのか、動きもなくただただじっとしている。敵対していないのだろうか?


「このまま動かず、静かにね。」


そう小声でハルカちゃんに指示を出す。声を出さないように頷きだけの返事が返ってくる。

しばらく見つめ合っていると、興味を無くしたのか、またその場で旋回し出し別の方向ヘゆっくりと歩き出した。


「まさか、泥山がカメの甲羅だったとは。」


「予想以上に大きかったですね。」


「あの甲羅、硬いのかな?どう見ても柔らかそうなんだけど。」


「確かに、ドロドロですもんね。」


去っていくマックタートルを眺めていると、少し離れた場所で止まり、また泥の中に潜っていった。


「さて、一旦戦って見る?それともコミュニケーション取ってみる?」


「モンスターとコミュニケーションなんて出来るんです?」


「攻撃してこない子なら意外といけるよ?」


「今までモンスター見かけたら倒すか逃げるの選択肢しか無かったので、その発想がそもそも無かったです。」


なぜだか半目で疑うような目線を送られてしまった。いや、まー、わかるけど、だって普通仲良くなる必要はないもんね。


「とりあえずもう一回近づいてみて、今度は持ってきた野菜あげてみよう。すんなり仲良く慣れるかもよ。」


「わかりました、アカリさんがそう言うのなら。ただ、やっぱり怖いので私は少し離れて見てますので。」


「わかった、じゃ持ってきた野菜を私に一旦くれるかな。」


それから大量の野菜をもらい、再度マックタートルに近づいてみることにした。ウサ郎を頭に載せ、両手で抱えられるだけ野菜を持ってみた。さっきの個体にゆっくりと歩み寄る。


「こんにちはー。」


近寄ってみるもさっきみたいに起き上がって来ることは無く、潜ったまんまだ。なので、こちらから声をかけてみた。しかし反応が無かった。


「おーい、カメさーん。おーい!お、気づいてくれたね。」


再度声をかけてみると、体を起こさず顔だけ伸びて来た。


「こんにちは、よかったら仲良くしない?お野菜持ってきたから食べない?」


そう言いながら地面に野菜を置いてみる。するとこちらに顔を近づけて口を開けて来た。そのまま野菜を食べるのだと思い見守っていると、頭の上に魔法陣が浮かび上がる。


「えええ、えー、っと。それは聞いてない!ウサ郎、増毛!」


ンキュ!


サラサラの毛が一気に伸びてカーテンが出来上がる。ウサ郎には悪いと思いながら掴んで盾代わりにする。


カァーーメーー!!


顔の周りに無数の石礫が出来がり、そしてそれらはすべて私に向って飛んで来た。


「ストーンシールド!」


飛んで来た石礫と私の間に遮るように土壁がせり上がった。


「もー、コミュニケーションなんて取れないじゃないですか!」


「いやー、いつもはこれでいけるんだけどねー。寝ようとしてたの起こしちゃって機嫌が悪いのかも。」


「とりあえず、倒しますよ。」


「うん、ちょっとメンバー変えてくる!ポータル!」


距離を取るためにポータルを開き、入る。急いで魔結晶を取り出して、レイと社員さんを出す。振り返るとマックタートルが次の魔法を唱えていた。対するハルカちゃんも魔導盾を展開しつつ、何か魔法を唱えていた。ポータルを潜って戦闘に復帰する。


「お待たせ。社員さんはみんなの回復ね。レイは隙見て攻撃してみて。ウサ郎は社員さんの護衛ね。」


「攻撃来ます!」


詠唱を終えたマックタートルが魔法の発動をするが、どこにもその魔法が見当たらない。そして急に地面がぐらつく。


「下です!避けて!」


「わわ!危なかったー。ありがとう。」


ハルカちゃんの声に反応して咄嗟に後ろに避けることが出来た。魔法は地面の一部を隆起させて打ち上げると言うものだった。私達のいた場所が的確に狙われたが、なんとか全員回避に成功していた。もしあの勢いで地面から打ち上げられていたらどれくらい宙を舞っただろうか。確実に落下で大ダメージを受けていただろう。そしてマックタートルは休む暇無く次の魔法を唱え始めた。


「レイ、反撃!魔法を止めて!」


ガルルッ


勢いをつけ、果敢に突撃していく。そして爪を立て、甲羅の側面に飛びかかる。


バチンッ

「えっ?!」


しかし、振り下ろされら爪は甲羅に接触した途端に弾かれてしまった。どう見ても液状の泥なのだが、どう言うことなんだろうか。


「私も行きます!ストーンボール!」


カンッ


だが、またしても甲羅に弾かれてしまった。


「ほんとにあの甲羅って硬いんだね。」


「ど、ど、どうしましょう。」


何であんなに硬いのかものすごく調べてみたいが、今は討伐が優先だ。とりあえずはハルカちゃんの情報通りに弱点を付いてみよう。


「レイ、風纏い使ってもう一度攻撃!」


これでうまくいけばいいんだけど。

|ω・) 3話更新…お前死ぬのか?

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