125 マックタートル
「あ、あの、お願いがあるんですけど。」
それはお使いをして来た翌日のことだった。今日は何しようかと放牧場でみんな戯れていたところ、ハルカちゃんがやってきた。
「ん?どうしたの、急に。」
「実はテイムして欲しいモンスターがいるんです!」
それは急な要望だった。ちょうど暇だし聞いてみることにした。
「えっと、とりあえず順番に話してくれるかな?」
「あっ、すみません。え、えっとですね、私畑で野菜とか育ててるじゃないですか?その畑の土をもっといい物にしたいんですよ。それで、いろいろ調べたんですけど、そしたらいい土をドロップするモンスターがいるらしく。どうせならアカリさんにテイムしてもらって、その子に土を作ってもらえたらなーって思って。作れるかはまだわかんないんですけど。」
ふむふむ、いい野菜はいい土からってことなのだろうか。でも土のモンスターか、想像がつかないな。
「それは一体どんなモンスターなの?」
「亀です!」
「亀!」
「陸ガメです!」
「陸ガメ!ちなみに大きさは?」
「おっきいです!」
「おっきいカメ!その話のった!」
こうして私とハルカちゃんのカメ捕獲の旅が始まったのだった。
◇
やってきたのは東側。馬肉をゲットしてた場所からさらに東に進んだとこ。
「情報によるともう少し先に川があるらしく、その周囲に出現するらしいです。」
「だってよ、クーちゃん。川に向って全速前進!」
クゥクーン!
「それでそのカメさんの情報はどれくらい調べたの?」
「はい、画像はなかったのですが、書き込みによると高さ3m以上ある大きな甲羅を持っているらしく、動きは遅いそうです。攻撃方法は土魔法が主で、弱点は頭だそうです。甲羅がすごく硬くて柔らかい?らしく、こもられるとこちらからの攻撃をほとんど防いでしまうんだそうです。名前はマックタートルだそうです。」
「硬くて柔らかいってどう言うことなんだろう?反対の意味だよね、それ。」
「はい、私も意味が分からないんですよね…。書き間違いなんでしょうか?とりあえず、注意するとことして打撃と斬撃は無意味、風属性が有効だそうです。」
「ちなみにテイム方法とか好物の情報とかってのはー。」
「残念ながら無かったです…。」
ま、そうだよねー、知ってた。手探りはいつものことだしいいけどね。
「で、でも現実の陸ガメのことなら調べてきました!」
「んー、偉い!」
「えへへ、えっと、陸ガメの好物は葉野菜や根菜、あと果実なんかも食べるそうです。なので、私の育ててる野菜達をそれぞれ持ってきました!あとは変温動物なため、寒さには弱いそうなんですけど、冷やせそうな方法が思いつきませんでした…。」
「じゃ、とりあえず近づいてみて、敵対しなかったら野菜を試してみようか。」
「は、はい!」
守りたい、この笑顔。ハルカちゃんは表情がコロコロ変わって可愛いな。
「あ、見えてきましたよ!」
ハルカちゃんが指差す先には茶色く濁った水が緩やかに流れる川が見えてきた。
「クーちゃん、地面に降りるから降下して。」
ンクッ!
川から少し離れた場所に私達は降りて、陸路で近づくことにした。とりあえず、護身用兼盾としてウサ郎を抱いて向かった。魔法に強いこの子なら適任だろう。川に近づくと水辺はぬかるんでいて泥が所々に吹き出しており、こんもりと小さな山のようになっていた。足が取られるほどではないが、ペタペタという足音がしていた。
「それで噂の陸ガメはどこですかね?」
「んー、とりあえず探知。お?おお?」
探知を発動すると周囲に複数の反応があった。辺りを見渡すも、そんな大きなカメの姿は見えない。一体どこにいるんだ。
「一番近いのでこっち、ちょうどあの辺り。泥が吹き出してる所。」
そう話すとハルカちゃんは静かに武器を取り出して構えた。私も一応魔導書を片手に持ち、反対の手でウサ郎をぎゅっと抱く。
「ゆっくり近づいてみようか。」
「はい!」
噴出口に近づくと盛り上がってた泥山が動きだし、真の姿を現した。
|ω・) 2話更新…だと…!!
誤字脱字等ありましたら報告いただけると助かります。
感想や評価、ブックマークやいいね等していただけると喜びます。
更新は不定期を予定してます。