12 とあるプレイヤー
(とあるプレイヤー視点)
俺は昨日このゲームを始めた新人プレイヤーだ。今日はギルドのクエストにあったシャインディアの角の納品のために目的の草原に来ている。
ギルドの情報によるとやつらは光を出す鹿らしく、夜になると光って見つけやすいとのことだ。1匹だけなら初心者でも倒せるとのことだったが、群れたら危険だと言っていたな。ま、俺の華麗な剣捌きにかかればなんとかなるだろう。
そんな訳で早くも光る草むらを見つけた。そーっと近づいて見たが3匹の群れのようだ。まずはイメージトレーニングだ。最初は手前のやつの首をすぱっとやって、次はその横にいるやつをザクッと斬る。最後に奥のやつをバッサリ斬って終わり。いいぞこのイメージで行こう。
剣を抜いて勢いよく跳び出した。
「オラァ!」
首を狙って剣を振ったが、反応がいいのか角で受けられた。だがどうやら受けきれなかったようで飛んでいった。よしよし瀕死のようだ、じゃぁ次のやつだ。
「ウリャ!」
と2匹目に剣を振りかざそうとしたときだった、奥にいたシャインディアが閃光を放って俺の視界を奪ってきた。光がやんで辺りを見るとさっき倒したはずのシャインディアが起き上がってきた。よく見ると体力が回復していた。
「おいおい、めんどくせーな」
ごそごそっと後ろから音がして振り返ると追加で2匹のシャインディアが現れた。つまり周囲を鹿に囲まれてしまった。
「やってやろーじゃねーか!オリャー!」
目の前のシャインディアを次から次へと斬り続けるも、その度に回復されて切りがない。だんだんとスタミナも減り、防戦一方になってきた。
全方位からの攻撃に体力が減少していくなか一匹のコットンラビットがこっちに来るのが見えた。だがもう体力がなく倒れてしまいポリゴンになって消えてくのだった。
(アカリ視点)
プレイヤーが戦っているのはシャインディアという鹿型のモンスターだった。プレイヤーの方は華麗な剣捌きでどんどん攻撃していくが、攻撃を受けていないシャインディアがたびたび光って回復をしていくため一向に数が減らない。
助けに入るにも自分には戦闘力もないしな、とりあえずできることをするしかないと思い魔導書にワープとポータルの魔法をセットしながらウサ吉を召喚した。
じりじりと追い詰められていくプレイヤーを見てどうにか助けられないかと頭をフル回転し解決策を考えた。単純な作戦だがやってみるしかないと思いウサ吉に指示を出した。
「ウサ吉、ここにポータルを設置しておくからあそこのモンスターたちをここまでおびき寄せてきてくれない?近くまで来たら入らずに飛び越えてね。」
「キュッ!」
いい返事とともにぴょこぴょこと群れの中へ飛び込んでいった。残念ながらプレイヤーの救出は間に合わず消えてしまった。
ウサ吉はシャインディアの群れの中を飛び回っていた。背中に乗ったり足の間をすり抜けたりとかき回していた。
私も準備のためにポータルを指定の位置に設置した。出口は斜め上に向けて設置しておいた。念のため再度ポータルを詠唱して準備を完了させた。
ちょうどいいタイミングでウサ吉がこちらへ走ってきた。打ち合わせ通りにウサ吉はポータルの前まで走ってきてぴょいっとポータルの上をジャンプして飛び越した。
その後ろを勢いよく走ってくるシャインディアたちはポータルへ吸い込まれもう一方のポータルから宙に放り出される。宙を舞ったシャインディアたちはその後仰向けになりながら地面に打ち付けられる。
砂埃が収まるのを待つと5匹いたシャインディアのうち4匹は体力が尽きたのか角だけ残っていた。一番体格のデカかったシャインディアはまだ体力が残っているようでなんとか立とうとしていた。
立ち上がったシャインディアに私は全力で走って頭に魔導書を叩きつけた。
|ω・) 区切る場所を見失った
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