120 だーれだ!
「ただいまー、っと。」
「はい、ただいま〜。」
帰りは一瞬なのはやはり便利だね。
「それじゃ〜、私はさっき話してた納品箱なんかを準備してくるわね〜。何か欲しいものとかあるかしら〜?ついでに作っておくけど?」
「あ、じゃぁグランドホースとランニングホースのサドルをお願いします。」
「わかったわ〜、やっぱり捕まえてきてたのね〜。」
「あと、大量に馬肉をゲットして来たのであとで馬肉パーティーをってルンと言ってたんですけど。」
「は〜い、出来たら呼んでね〜。すぐ行くから!!」
両手を捕まれ、ちょっと食い気味な返事が返ってきた。どうやらルリさんも楽しみにしてくれるようだった。
「わ、わかりました。すぐ呼びます!!」
「それじゃ〜。」
そう言って軽くスキップしながらクランハウスの方へ向かって行った。私はそれを見届けながらルンにチャットを送った。
『帰ったよー。 アカリ』
『おー、帰ったか。すぐ私も戻るぜ。 ルン』
案外すぐに返事が返ってきた。意外と暇してるのかな?とりあえず先にハウスの厨房に行っておこうかな。
そう思い歩き出した瞬間だった。私の視界は何者かに奪われたのだった。
「だーれだ!」
そう明るく無邪気な声が背後から聞こえる。ほんのりと温かい手が私の目を隠してるようだ。
「誰も何も、その声はルンでしょう!来るの早くない?!」
そう言いながら私は目を覆っている手を振りほどきながら振り返る。
「残念でしたー。正解はハルカちゃんでーす。」
そこには眉をひそめ、申し訳なさそうな顔のハルカちゃんと、その後ろににたり顔のルンが立っていた。
「にっしっしー、うまく騙せたねー。」
「あ、あの、えっと、ごめんなさい。」
「いや、謝ることないよ。どうせルンがけしかけたんでしょ?」
そう言うとハルカちゃんは顔をそらすようにルンの方を見た。どうやら当たっているようだった。
「にしても早すぎじゃない?しかもハルカちゃん連れてるなんて。」
「あー、ちょうどハルカちゃんの畑仕事手伝っててね。帰ってくるのが見えたからこっそり二人で近づいたってだけの話しだね。それで例のものは?」
「取ってきたよ、ほら、たっぷりと。」
そう言いながらアイテムボックスから大量のお肉を出してみせる。出てきたお肉達はゴロゴロと積み重なった。
「おー、これはこれは。早速いろいろ作らねば。じゃ、私は先行ってるから。さばらっ!」
すごい勢いで落ちたお肉を拾い集め、去っていった。自由なやつだ。
「それで、ハルカちゃんはこれからなにするの?」
「えっと、特には…?」
「じゃ、これから多分大量に料理するだろうから手伝ってくれない?ちなみに料理の経験は?」
「スキルは取ってないですけど、リアルでは手伝いでやってます。」
「なら大丈夫だね、いこっか。」
ハルカちゃんの手を握ってルンを追いかけるように一緒に駆け出した。
◇
「お前ら、覚悟は良いかー!厨房は戦場だー!」
厨房に着いた私達を迎えたのはコック服に身を包んだルンだった。そして私はハルカちゃんを連れてきたことを後に後悔するのだった。
|ω・) 生きてたけど短め、許せ
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