117 フリッカー
「さてさて、ステータスはっと。」
【】(ランニングホース)Lv5
体力(HP) 110/110
スタミナ(ST) 20/20
筋力(STR) 40
知力(INT) 5
俊敏性(AGI) 45
器用さ(DEX) 5
重量(WT) 100
スキル:<加速:Lv1> <無限のスタミナ:Lv1> <牽引:Lv1>
このレベルにしては、俊敏性と重量が高めなくらいか。牽引はモカさんのと同じ効果のようで、引っ張る荷物の重量軽減する効果だ。加速はユウさんが使ってるものと同じで任意の方向に向かって高速移動するものだ。最後に無限のスタミナだが、使用すると一定時間スタミナ消費が0になるというものだ。レベルが上がると効果時間が伸びていくみたい。ふむふむ、効果時間中に加速され続けたら一生捕まえれない気がするよ。ちなみに同レベルのときのモカさんのステータスと比較してみると。
【】(ブラッドカウ)Lv5
体力(HP) 120/120
スタミナ(ST) 20/20
筋力(STR) 40
知力(INT) 10
俊敏性(AGI) 25
器用さ(DEX) 10
重量(WT) 100
スキル:<酪農:Lv1> <闘牛:Lv1> <牽引:Lv1>
結構似たステータスをしている。ゲーム設計的にもこの2種でアイテム運搬をしてほしいってことなんだろうか。
「ねぇ、ちょっとスキル使って見せてよ。」
ヒヒーン!
前足を上げながら嘶き、体が少し光った。多分無限のスタミナを発動したのだろうか。そんなことを考察していると、軽く走り出した。そして加速、瞬間的に速くなって移動する。そしてすごかったのはここからだった、連続して加速を使い続けてるのか、その速さは目にも止まらぬ速さにまで到達し、残像のみが残されるくらいまでになった。まるで青い光が通り過ぎてくような、そんな光景だった。しばらく走ってみせると、加速するのをやめて帰ってきた。時間にして1分くらいだろうか、今スキルレベルではそれが限界のようだった。
「ありがとう、めちゃくちゃ足速いんだね。ところで名前はどうしようかな?ライちゃん?ホーちゃん?」
ブルルルッ
どうやらどちらもお好みではないようだった。どうしたものか。んー、あとは青い残像だから、アフターイメージ?それはちょっと長いな。何かいい言葉はないだろうか。揺らぐような青の閃光、フリッカー。うん、私にしてはいいんじゃないだろうか。
「ねぇ、フリッカーでどうかな?」
ブンブン!!
おー、好感触のようだ。
「じゃ、今日から君はフリッカーね。よろしく。それでやっぱり乗るにはサドルが必要なのかな。」
ステータス欄にはサドルの装着スペースがあるから多分そうなのだろう。乗るのはまた今度だね。
「それじゃ、モカさんを出してー。」
ンモー!
「よーしよし、新しい仲間のフリッカーだよ。仲良くしてね。」
2匹とも顔を合わせて何やら頷き合っている。独特なコミュニケーションだが、仲良くしてくれているようだった。
「それじゃモカさんは私を乗せてね、フリッカーは付いてきてね。」
モカさんにまたがって、探索を続行する。モカさんの歩く速度はのんびりなため、フリッカーにとってはもどかしいようで私達の周囲を走り回ったり、ちょっと遠くまで走っていったかと思うと戻ってきたりと忙しない感じだった。
「あんまり遠くまでいかないでねー!」
自由気ままというか何と言うか、遊園地ではしゃいで回る元気な子どもみたいだ。ま、探知範囲内にはモンスターがいないようだしいいけど。
テロンッ
《メッセージ:1件》
お、なんだろ。誰からかメッセージが飛んできた。
『あと30分くらいで終わるから、そろそろ帰ってきてくれるかしら~? ルリ』
ルリさんからだった。もうすぐ終わるようだ。すぐさま返事をしておく。
『了解です。 アカリ』
「進路変更、モカさんこっちの方向に移動ね。フリッカー、行き先変更するよー。戻っておいでー。」
ルインズ盗賊団のクランハウスに向けてまっすぐ向くようにかじを取る。このまま距離的にもモカさんの速度で十分間に合うだろう。そうしてしばらく、モカさんの上でゆさゆさと揺られながら草地を進んでいった。
そのまま何事もなく目的地まで着くことはなく。当然行く手にモンスターが現れた。もちろん相手はグランドホースだ。ついでだし、フリッカーの戦闘を試してみよう。まだ距離もあるし、とりあえずは作戦を決めて近づこう。
「フリッカー、こっちおいで。この先にグランドホースいるから作戦会議だよ。」
フリッカーを呼び戻して一旦集合させる。
「相手は4匹いるから、まずはフリッカーが相手の背後まで全力で走って通せんぼしてきて。それに気を取られた個体をモカさんは闘牛を発動してそのまま倒しに行って。フリッカーも状況を見て攻撃できそうならやってみて。それじゃ行ってみようか。」
2匹とも頷いてくれた。
「よし、じゃ作戦開始。フリッカー行っておいで。」
合図と同時に高速で走り出していく。モカさんも後を追うように走り出す、しかし追いつくはずもなくどんどんおいていかれる。ま、速度差が出るのはわかっていたので予定通りだ。フリッカーはあっという間にグランドホースたちの横を通り抜け、反対側に陣取った。それと同時に嘶いて見せて威嚇する。それに気を取られたグランドホースたちはこちらに背を向ける形になった。
「モカさん、突っ込めー!!」
ンモオオオ!!
闘牛を発動させたモカさんから私は一旦飛び降りて、送り出す。前傾姿勢になり勢いよく走りだした。そしてそのまま1匹目のグランドホースを突き飛ばす。レベル差があるのはわかってるが、投げ飛ばすとは思わなかった。そして続けざまに勢いそのままもう1匹に追突した。宙に舞ったグランドホースはそのまま地面に追突し、倒れる。突撃された個体もそのまま力尽きポリゴンになって消え去った。残るは2匹、ちょうど1匹はフリッカーが相手しようとしているみたいだ。グランドホースが体当たりを仕掛けようと走り出したが、それを交わし後ろに周る。そのまま加速し勢いをつけて追突する。モカさんみたいにとはいかないものの、弱らせる程度にはダメージが入ったようだった。その場で体制を崩している。そうこうしている間にモカさんが最後の1匹を突き飛ばしていた。どうやら私の出番はなさそうだ。弱ったグランドホースはまだ闘志を見せているが、戦況は一目瞭然だ。あとはトドメを刺すだけだ。フリッカーが最後の攻撃のために勢いよく走り出す。が、ふと気づいてしまった。
「フリッカー、待った!!」
そう叫んだ私の声に、すでに走り出していたフリッカーは急ブレーキをかけ、地面を煙を立てながら滑るように止まった。
「ふぅ、セーフ。倒してばっかりで忘れてたけど、グランドホースもテイムまだなんだよねー。」
弱ったグランドホースは足を震わせながらも立ち上がり、こちらを睨んでいる。ま、攻撃されたんだし敵意があって当然だよね。
「二人とも逃げないように見張ってて。」
そう指示を出しながら、私はポーチからあるものを取り出す。あるものを手に持って私は勢いよく拳を振り出す。
「これでもくらえー。」
グランドホースの鼻先に向けて突き出した拳は寸前で止め、そして握っていた手を開く。そして手から出てきたものにグランドホースは興味を示したのか、鼻を引くつかせていた。私が持っていたのはパワーナッツだ。フリッカーの好物と一緒だ。アルファ種の好物は一緒じゃないかと思い出してみたが、的中したようだった。
「君もこれが好きなんじゃないかな?仲間になるなら食べてもいいけどどうかな?ちなみにまだまだこーんなにあるよ。」
そう言って追加でパワーナッツを取り出す。それを見たフリッカーが近づいてきている。
「いらないって言うならそこのフリッカーに全部あげちゃうけど。」
フリッカーのとき同様、いじわるそうに言って見せる。ほんとはそんなことせずにあげたいのだけれども、仲間にするための試練だと思ってやる。グランドホースもすぐに堪忍したのか降伏したかのように顔を地面に伏せてみせた。
「よし、じゃ、テイム!」
《テイムに成功しました》
ちゃんとテイムも成功した。
「よーし、ありがとう。お詫びにどーぞ。」
パワーナッツを差し出す。ちゃんと食べてくれた、美味しそうでなによりだ。フリッカーも一緒に食べている、仲良くするんだよ。
「それでステータスはっと。」
【】(グランドホース)Lv5
体力(HP) 110/110
スタミナ(ST) 20/20
筋力(STR) 40
知力(INT) 5
俊敏性(AGI) 25
器用さ(DEX) 5
重量(WT) 120
スキル:<ビルドアップ:Lv1> <無限のスタミナ:Lv1> <牽引:Lv1>
これまた筋肉もりもりなタイプだな。ランニングホースがスピードタイプでこっちはパワータイプって感じなんだろうな。重量も高めで、荷物運搬はこの子が一番適任なのかもしれない。ちなみにスキルのビルドアップは使用中は一時的に筋力と重量の数値が上昇するというものだった。レベル上昇とともに数値の上昇と消費するスタミナの軽減されるようだった。ギルドで貸し出されてるだけあって、荷物運搬に特化しているみたいだね。
「名前はそうだねー、運び屋ってことでクーリエでどうかな。」
パワーナッツを食べるので忙しいようで、聞いていないようだった。ま、いいか。
「じゃ、よろしくね、クーリエ。おっと、時間を使っちゃったな。3匹とも一旦戻って。」
そう言いながら全員を魔結晶化させる。あとはクーちゃんを出して乗り込む。
「クーちゃん、全速前進!」
時間ギリギリになりそうだなと思いながら急いで帰ることにした。
|ω・) 久々にテイムした気がした。
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