111規格外
「なるほどー、東の地方にはそんなところがあるんですねー。」
「ええ、たぶんダンジョン探索においてうちのクランを超えるとこはないでしょうね。」
ガルドさんは主にマップの東側をメインに攻略しているとのことだった。地形としてはとても広い平原になっているらしく、背の低い草とたまに生えている木や岩くらいなものらしい。ただところどころに古代遺跡が存在し、中に入るとダンジョンになっているとのこと。ダンジョン内部はゲームでよくあるタイプの広い部屋を迷路のように交差する狭い道が繋ぐようにできており、奥に進むとボスモンスターが待ち構えているそうだ。ボスを倒すとこれまた定番の宝箱が置いてあり、中からはランダムでアイテムがでてくるらしい。ただし、毎回道が変わるらしく、踏破するには相応の時間がかかるそうだ。
「そういえばまだ聞いてませんでしたが、クラン名はなんて言うんですか?」
「あれ?ルリさんから聞いてなかったのか。うちはルインズ盗賊団って言うんだ。」
「盗賊団?!」
そう言われてガルドさんの格好を見ると少しやさぐれたと言うんだろうか、荒い麻布でできた上着に皮のパンツとフード付きのポンチョコートと暗殺者のような格好だった。
「そんな心配しなくても大丈夫よ~。盗賊団と言っても、このゲームにプレイヤーキルなんてないですし、他者に迷惑かけるような人たちじゃないから~。」
「ああ、ロールプレイのようなものだ。遺跡を回ってお宝を集める盗賊ってのがコンセプトのクランだからな。」
「そうなんですか、よかった。」
「むしろダンジョンで手に入れたアイテムをトレードショップに適正価格より安く流してくれるような人達なんだから~。あんまりお金のないプレイヤー達からは安くてそこそこいい装備を揃えられるって好評なんだから~。」
話を聞く限り、なんとも健全な盗賊団なんだろうか。名前で疑ってしまったのが申し訳なくなる。
「それに結構実力者揃いで~、東側の攻略進捗は最前線を走ってる人たちよ~。クランリーダーなんて、最速でレベルカンストの25レベルまでいったって言われてる人なんだから~。」
ふむふむ、思ったよりもゲーマーたちの集まりなのかもしれない。
「いやー、あの人は単純にダンジョンにハマりすぎていつの間にかカンストしてたって言うような異常者なので。メンバーは意外とライト層から中堅まで様々ですよ。あの人だけ規格外なだけです。たぶん今日も一人でダンジョンに籠もってますよ。」
「ふふ、リーダーが規格外なのは同じよね~、ほんと。」
「えっ?!私も?!」
「そうよ~、クラウディーセタスの攻略者ってまだ報告ないのよ~?」
「それを既にテイムしてるってのが正直信じられないですね…。」
そう言って二人から冷たい視線が向けられた。
「いや!これはたまたまというかなんというか。そんなこと言ったらルリさんだって規格外でしょ!」
「あら~、ひど~い。こんなか弱い乙女なのに~。」
「か弱い乙女は一晩で城なんか建てないですよ!!生産職としてはトップ層でしょ、あなた!!」
それを聞いたガルドさんも腕を組みながらうんうんと頷いてくれた。
「うっ、それを言われると何も言い返せないわね~。ま、うちにはもう一人料理バカな規格外もいるんだけどね~。」
どやらうちのメンバーの3/5は規格外品らしいという事実を今知った。いや、私は至って普通のプレイヤーだよね、うん。
「まぁまぁ、二人ともその辺にしときましょう。そろそろ着きますよ。」
「すみません、つい…。」
「あら~、もうそんなとこまで来てるのね~。クーちゃんだとあっという間ね~。」
「ええ、ほんとに早いですね。私のロックロックでも倍はかかりますね。見えてきました、あそこが私達のクランハウスですね。」
そう言って指を指したあたりには黄色い砂レンガでできた城壁に囲まれた、これまた立派な遺跡ができていた。
|ω・) 先週はすまん
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