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106 異変の解決


急に倒れた大蛇に困惑しながら、一旦上空に待機したまま様子を見る。さっきまで表示されていた体力バーは表示がなくなっている。しかし、倒したらいつもはすぐに消えてなくなるのだが、なぜだか消えずに残っている。


『ユウ、ちょっとボスが死んでるか確認してきて。 ルリ』


『はいはい。 ユウ』


ルリさんがチャットですぐにユウさんに様子を見てくるよう伝えた。すぐにユウさんは動き出し、軽々と倒れた大蛇の上に上り、大蛇の顔の前までたどり着いた。大きく口を開けたまま倒れている大蛇に近づいた時だった、ユウさんは急に大きく後ろに飛び退いた。


『こいつまだ息してる。 ユウ』


みなチャットが来た瞬間に戦闘態勢を取る。が、やはり大蛇に動きはなかった。


『ちょっと攻撃してみる。 ユウ』


そうチャットをすると、2本の短剣を構え猛進する。弱点である目に向かって勢いよく切りつけた。が、どうやら弾かれてしまったようで大きく体勢を崩した。すぐさままた大蛇から距離を取り、警戒をしながらチャットしてきた。


『ダメだね、攻撃したらInvincibleって表示された。 ユウ』


「あら~、無敵かあ~。それじゃこちらからはもうどうしようもないわね~。」


「どうしましょう?時間はまだありますけど。」


「そうね~、一旦下まで降りて合流しましょうか~。ハルカちゃんは一応いつでも盾出せるようにしててね~。」


「は、はい、わかりました。」


「じゃ、クーちゃんちょっと下までゆっくり降りてみて。」


すーっとじわじわ降下して地上にいる二人の元へ近づく。その間も警戒を忘れず大蛇に動きがないか注視していた。しかし、これといった変化はなく相変わらず倒れているだけだった。


「おいーっす、それでこれからどうするよ。」


ルンが駆け寄りそう言った。私達3人も地面に降り集合する。


「そうね~、まず聞きたいんだけど~。ルン、あんた毒なんて盛ってないわよね~?!」


「ないない、みんなも食べたでしょ?それならうちら今頃死んでるよ!」


それは確かにそうだ。


「じゃ~、念の為材料を全部答えなさ~い。」


「えっとまずは小麦粉にバター、あとは上に乗っけてた各種フルーツと金のりんごくらいかな。あ、あと隠し味として金のりんごで作ったシードルが入ってたくらいで。」


シードルとはりんごで作ったお酒のことだ。本来はりんごを長時間発酵させて作るのだが、ここはゲームだ。スキルを使えばすぐに作成できる。他にもゲーム内にはいろんなお酒があるのだが、味は再現されているが実際に酔ったりはしないようになっている。ただし、アルコールを接種するとデバフが付くようになっている。酔いのデバフは段階があり、最初のうちは全く支障はないのだが段階が進むごとに視界がぼやけたりといった感じでペナルティが発生する。ゲームという都合、未成年でもお酒が飲めてしまうためアルコール依存症がでないよう配慮されているのだろう。


「あなた、そんな手の込んだことまでしてたのね~。」


そう言ってルリさんは額に手を当てやれやれといった表情を浮かべる。


「料理人たるものできる最上級のもてなしをするのが私のもっとうだからね!」


対象的にルンは両手を腰に当て胸を張りながらそう宣言した。


「一応聞くけど~、アルコールは飛ばしてあるのよね~?」


「いや、全部は飛ばしてないけど?現にみんなにも一番軽い酔いのデバフ付いてるでしょ?」


そう言われてステータスを確認するとものすごい量のバフ欄にひっそりと酔いとデバフが混じっていた。


「あなたね~。」


「いや、しょうが無いんだって。もともとあのりんごには大量のアルコールが含まれてるみたいで、生の状態だったらもっとデバフ食らってたんだよ?それを私は丁寧に調理してここまで抑えたんだから、むしろ褒めてほしいくらいだよ。」


と、犯人は供述した。どうやらあのりんごにはもともとかなりのアルコール成分が含まれているとのことだった。そのまま食べてたら私達は動くことすらままならない状態になっていたはずだそうだ。てか、そもそもしれっと食べさせられた気もしなくもないがそこは黙っておこう。にしても大蛇に酒を飲ませて退治したって話をどこかで聞いたような気がするけど。確かヤマタノオロチ退治がそんな話だった気がするな、お酒を飲ませて倒れたところを切って倒す的な話だったような。それで最後に尻尾から草薙の剣が出てきたとかなんとか。


「あ!ユウさん、尻尾の方に行って切って見てくれません?」


「ん、わかった…。」


軽々と大蛇の体を飛び移るように移動し、尻尾の先端まで移動していった。私の感は当たっていたようで、尻尾からは淡いオレンジ色の光が点滅するように発光していた。ユウさんが短剣を突き刺すと弾かれることなく刃が刺さっていく。すると急に周囲が光弾けた。眩しい光に目を覆っていたが、光が消えていくとさっきまであった大蛇の死体は消えてなくなり。ユウさんの前には1本の大きな剣が転がっていた。それを手に取った。


《異変の解決》


「なんか落ちてたけど…。」


【地殻変動の剣:この剣で地面を叩けば大地を揺るがし、火山を噴火させる伝説の剣。】


どうやらこれがあの大蛇の能力の正体のようだ。そしてこれで、このクエストの目標はすべて達成したことになるみたいだった。


「なんだか閉まらない終わり方だったけど、これで全部達成したみたいですね。」


みんな急な終わりにさっきまで張り詰めていた空気はなくなる、気が抜けてしまった。


「リーダー、グッジョブ…。」

|ω・) シードルおいちぃ

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