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97 3万超えのプレイヤー


「あいたたた。」


真っ白い光に包まれ、風景が変化するとそこは最初に降り立った漁村の桟橋にいた。


「おいおい、あんた大丈夫か?海辺に倒れてたが、あんま無理すんなよ。」


どうやら私はマグマに焼かれて死んだみたいだ。たぶんクエスト中は体力がなくなったらこの漁村まで戻されるシステムのようだ。にしても、あの大蛇を倒したのに火山が噴火だなんてどういうことなんだろう。これで万事解決ってことじゃないのかな。

火山の方に顔を上げ目を向けると山頂からは大量の溶岩が流れ出し、真っ黒い煙が轟々と音を立てながら空高く立ち上っている。


「お終いだ、神がお怒りじゃ。」


唖然としていると村長と思われる老人が膝を着いて両手を合わせて嘆くように祈っていた。近づいてみると、こちらに気づいたのか立ち上がって向かってきた。


「もしかしてお主が島の神を倒したのではあるまいな?!」


「えっ?えーっと、そそそ、そんなことないですよー。」


とっさのことで思わず否定してしまった。犯人は私です、はい。


「そうじゃったか、すまんかった。お主も早く避難するんじゃぞ。」


「は、はい。」


《残り時間1分を切りました》


と言ってもあと1分なんだよな、どうしよう。

火山から流れる溶岩はふもとまで到達し、森を焼き払いながらこちらに進んできている。空は噴煙で覆われ暗くなってきている。どう見ても完全に大災害だ。


にしても何か大事なことを忘れてる気がするんだよな、なんだろうこの喉の奥につっかえて出てこない感覚は。うーむ、なんだかモヤモヤする。


そんな事を考えているうちに残りの時間も過ぎ去り転送されてギルドに戻された。


《今回の獲得pt 36900pt》


うぉ、流石にあの大蛇を倒したからポイント高いな。確かあの大蛇の討伐が2万だったかな、他は…。


「あっ!」


思わず声を出してしまった。そうだ、あの金のリンゴだ。すっかり忘れていたけど、確かあのリンゴを持った勇者が神の怒りを静めるとかなんとか言ってたんだった。普通に倒しちゃって大災害になっちゃったわけだけど、きっとあのリンゴが鍵になるんだね。。ふむふむ、とりあえず喉に引っかかってたものがとれスッキリした。


「うぉー!とうとう3万超えのプレイヤーが現れたぞ!」


ギルドの中に居たどこかのプレイヤーがそう騒ぎ出した。


「ってことは神を討伐したってことだよな?」「すげーぞ!」「誰だ誰だ、討伐者は?」


私の後ろの方で大騒ぎになっていた。


「クラン名はもふもふファームってなってるが、聞いたことねーな。プレイヤーはアカリってなってるが、ソロか?」


完全に私のことだと悟ってしまった。目立つのも嫌だし、さっさとここを離れよう。そう思って出口の方へ急ぎ足で立ち去った。フィールドに出てリタンで帰るより、ルンのお店のほうが近かったので、そのまま行ってみたが、今日は流石に閉店中のようだった。ま、イベント初日だしね。合鍵を使って中に入り、魔導装置でクランハウスまで移動する。


相変わらずきれいな風景が出迎えてくれて少しほっとした。さっきのあの島の惨状を見た後だと余計にそう思う。あの島はあの後どうなるんだろうか、辺り一帯溶岩の海に沈んでしまうのだろうか。そう思うと少し心が傷んでしまった、たぶん原因は私だろうし。ま、ゲームだからそんな事考えても仕方ないかと心のなかで割り切ることにした。


「アカリちゃ~ん。」


俯いて歩いていたせいなのか声をかけられるまで気づかずビクッとしてしまった。さっきもそんな事があった気がする。


「ル、ルリさん、どうしたんですか?」


「どうしたじゃないわよ~、初ボス討伐者が現れたのよ~。」


「へ、へー、そうなんですねー。」


「それがね~、どうやらもふもふファームのアカリってプレイヤーらしいのよね~。」


「へ、へー、そうなんですねー。」


「今からじっくり何をやったのか話してもらうわよ~、アカリちゃ~ん。」


そう言ったルリさんの顔はなぜだか迫力に満ちていた。

|ω・) もう夏も終わりですね

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更新は毎週火曜と金曜を予定してます。

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