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96 2回目の挑戦5


「レイ!どこにいたの!」


叫んだ私の声は火山の中で木霊する。体力バーを確認するとまだ無事なようだ。しかし、なぜだか少しずつではあるが体力が減っていっている。もしかすると、溶岩の中にでも落ちたのかもしれない。マップを確認すると、ちょうど大蛇が倒れた辺りに反応がある、もしかして大蛇に押しつぶされているのかもしれない。とりあえず、早く助けなきゃ。


「クーちゃん、レイを助けにいかないと!」


クゥーウン


首を横に振って拒否される。


「なんで!早くしないと!動いてよ、あそこらへんにいるんだから!」


今も少しづつ体力が減っていっている。このままではレイがやられちゃう。クーちゃんを急かすも、一向に動いてくれない。

そうこうしているうちに大蛇が立ち上がってきた。にょろりにょろりと立ち上がる大蛇だったが、今までと少し様子が違っていた。時折大きく仰け反りながらなんとか立ち上がろうとしているみたいに見える。まるで誰かに殴られているみたいだ。よく見ると大蛇の体力があと2割くらいまで減っている、さっきの攻撃がちゃんと効いているみたいだ。


フジャアアアアアアアア!


急に叫びだした大蛇はそのままその場で暴れ出した。体をくねらせて、ドタバタと地響きを立てている。そしてなぜだか少しずつ大蛇も体力が減ってきている、何が起きているんだ。


ゴゴゴゴゴッ!


地響きが段々と大きくなり、それに呼応するように周囲の溶岩もあちこちで勢いよく噴出しだしている。気づけば火口の底はほとんどが溶岩の海に沈み、僅かな足場だけが残っている。周りの熱気も高くなり、暑いなんてものじゃないくらいになってきている。


ホッ、ウッ


どうやらこの暑さに耐えられないのかカスミが私の頭の上に着地する。ふと社員さんの方を確認するとやはり暑いのかぐったりしていた。無口なのは知ってるけど、もうちょっと自己主張していいのにと心の中で考えてしまう。


「二人共、おつかれ。戻っていいよー。」


ねぎらいの声をかけて2匹を魔結晶に戻す。そうこうしている間も地響きは増し、とうとう崩落が始まった。壁が崩れだし、上からは最初の落石と比べ物にならないくらい大きな岩が降ってきている。最大サイズでポータルを上下に展開し、降ってくるものはすべて私達を通過して下に落ちるようにする。


フジャアアアアアアアア!


今も大蛇は暴れまわっている。降ってくる岩のことは全く気にする様子もなく、一心不乱に我を忘れているかのようだった。何が彼をそんなに苦しめているのだろう。減少する体力バーはもうすでに1割もなく、虫の息だ。


「クーちゃん、なんだか可哀想だからトドメを指してあげて。」


せめてもの情だと思い、そう命じる。


クゥーウン


しかし、クーちゃんは首を振ってまた拒否されてしまった。


「このままだと私達も危ないかもしれないから、ね?」


なんとか説得を試みるも、なかなか言うことを聞いてくれない。


「じゃ、一旦脱出しよう。レイのことは気がかりだけど、このままじゃ危ないし。」


この提案も聞いてくれず、むしろその場にとどまり続けると主張するかのように動こうとしない。まるで何かを待っているかのようだった。


ドテンッ!


さっきまで鳴り響いていた地響きが止まり、そして大蛇の動きもとまった。


《島の神を討伐》


驚いたことにあの大蛇を討伐できたみたいだった。何が起きているのかわからなかったが、無事成し遂げたようだった。


ワオオオオオオオン!


そして驚いたことに、大蛇の口の中からレイが這い出てきて雄叫びお上げた。


クーン!


それを見たクーちゃんは急いでレイのところまで泳いで近寄っていく。よく見るとレイは粘性のある透明の液体によってベタベタに濡れていた。そしてようやく私は状況を理解することができた。どうやらレイは大蛇の中に入って戦ってたみたいだった。そしてそれに耐えきれず大蛇が悶え苦しんでいたようだった。もう、心配させるんじゃないよ、まったく。そう心の中でつぶやく。


「レイ、よくやった!」


そういって、濡れたレイを撫で回す。私も一緒にベタベタになってしまった。


《残り時間2分を切りました》


気づけば時間が過ぎていたようで、あと2分を切ったみたいだ。


「レイ、とりあえず汚いから戻りな。」


この汚れって引き継がれるのかなとかちょっと考えつつ魔石に戻して、ポーチにしまう。


「じゃ、クーちゃん、外に出ようか。」


クーン!


飛び立とうとしたその時だった。倒れていた大蛇の体が動き出し、立ち上がった。


グオオオオオオオオオ!


声にならないような不快な叫び声を上げると、真っ黒だった体がオレンジ色に光輝いた。


「えっ、えっ、なになに。」


慌てて戦闘態勢を取ったが、叫び終わると大蛇は再び倒れてびくともしなくなった。これが断末魔と言うやつなんだろうか、びっくりしたー。


「さて、戻ろっか。」


その時だった、収まっていた溶岩の熱気が一気に上がり下から湧き出てきた。そして逃げる間もなく、大量に吹き出た溶岩に私達は飲み込まれてしまったのだった。赤色の液体に包まれた私はあっという間に体力がなくなり、そして真っ白い景色に変わっていった。

|ω・) あちゅい

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