94 2回目の挑戦3
前に動画かなにかでメラニズムの蛇を見た記憶がある、お腹まで艶のない真っ黒な蛇だった。しかし、目の前の大蛇はお腹側はオレンジ色に淡く発光していた。とぐろの頂点に頭を置き、微動だにしない。寝ているのだろうか?
私達はクーちゃんに乗ったままゆっくりと火口の中に降りていく。下に行くほど壁からは溶岩が噴出し、カーテンができていた。そんな中、空中を静かに泳ぐクーちゃんに気づいたのか、大蛇はこちらに顔を上げ口からは長い舌をちろちろと出し入れしてじっと睨みつけてきた。そして、そんな大蛇の頭の上には島の神と表示されていた。
フシューーーー!!!
「うおっ!」
大きく口を開くと同時に、咄嗟に耳を塞いでしまうほどの大きな鳴き声で威嚇してきた。どうやら相手は敵意むき出しのようだ。ぎろっとした大きな目からは黄色く光る鋭い眼光がこちらに向けられている。
「クーちゃん、まずは様子見で回避優先!」
クゥンクゥン
「おいで、社員さん。レイはクーちゃんにバフを、社員さんは回復を。」
2匹はクーちゃんの背中の上に構え、それぞれ指示通りに行動を開始する。クーちゃんも少し距離を取り、様子をうかがっている。一方、島の神は尻尾を上に伸ばししゅるしゅると左右に振っている。そしていきなりその尻尾を地面に叩きつけ出した。
ビタンッ、ビタンッ、ズドン、ズドン、ガタッ、ガタッ、ガタガタガタガタ
「えっ、えっ、なになに。うわっ、クーちゃん避けて!」
リズムよく尻尾を地面に叩きつけたと思ったら、だんだんと音が激しくなり次第に地面ごと揺れだした。揺れは次第に大きくなり、空から岩が降ってきた。島の神は地響きを立て、落石を狙ったようだ。落ちてきた岩は大小様々なものがクーちゃんの上から飛来する。
「痛っ、痛っ。」
クーちゃんが大まかに避け、レイがそれでも避けれない岩を砕いてくれている。その破片が私の頭にちょこちょこ飛んで来ている。一応少しのダメージにしかなってないが、痛いものは痛い。
「やっと止んだか。」
地響きを収まり、同時に落石も降り止んだ。地面付近には砂煙が舞っており、視界は最悪だった。なんとか目を凝らして大蛇の姿を確認しようとした。しかし、いつの間にか目の前に居たはずの大蛇は姿を消していた。そして収まった砂煙の中からは大穴ができていた。
ゴゴゴゴォォーー
収まった地響きがまた鳴り始めていた。警戒態勢を取りながら、急いで魔法の詠唱を済ませておく。どこから来るのかわからないこの状況に張り詰めた空気が緊張感を掻き立てる。
ゴゴゴゴォォーー
地面の中を這い回る音は段々と下から上がってくる。気づけば飛んでいる私達の周りまで登ってきた。どうやら周囲の壁の中を潜って来ているみたいだ。
「クーちゃん、出てきたところを攻撃ね。」
キュピッ!ゴオオォォォォーーーー!!!
大量の空気を吸い込み、いつでもエアブラストを発射できるように準備を始める。すると目の前を流れる溶岩の滝が割れ、姿を消していた大蛇が口を大きく開け飛び出してきた。
フシャーーー!
警戒はしていたが、あまりの速さで反応ができなかった。クーちゃんの首元に大蛇はかぶりつく。その振動で私達は振り落とされてしまった。レイは軽々着地し、社員さんも光の加護で着地のダメージを無効化していた。
「ワープ!ふぅ、なんとかセーフ。」
私も魔法を使い、なんとか着地に成功する。
ピギギギーーーー!!!
「なに?!」
上から響く苦しそうな声を見ると、クーちゃんが大蛇に噛まれたまま全身にまとわりつかれていた。クーちゃんの体力も徐々に減少していっている。社員さんの回復を上回る速度で削られている。一体どうすればいいんだ。
|ω・) パンはパンでもパーン!
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