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アンラッキーから始まる物語(ラブコメ)

いらっしゃいませ。まずは、ラブコメになります。


 7月7日、7年付き合った彼女にフラれた。今日はプロポーズをしてラッキー7の日にしようとしていたら、とんだアンラッキー7となってしまった。


 右手にビニール傘、左手に彼女が好きだったガーベラの花束を持ち、傘越しに夜空を見上げた。見えない天の川にあいつ等も別れてしまえ、と空想の人物に悪態をつく。


「この雨じゃ、天の川も洪水で渡れないだろ。こんなに毎年天気が悪いんじゃ、彦星は浮気でもしてんじゃねーの?」


 それは、雨音に消えて誰にも聞こえないはずだった。だが──。


「いてっ!」


 ばばばばばばばばばばば……。


「いてててててて!! 何だ? こんな時期にひょうか!?」


 それは直ぐに止み、しゃがんで確認すればどう見ても小石のようなもの。


「なんで、石が……」

「何でじゃないわ! フラれちゃったんだから!! 毎年雨ばっかりで天の川を渡れないうちに7年が経って、彦星ったら別の女との子どもを作ってたのよ! 信じられる? あんたの言うとおりよ。777年も付き合ってたのに……」

「それは気の毒に……。それで、何で石が?」

「八つ当たりよ!!」


 若干地面から浮いたままの美女が喚く。もう、何から突っ込めばいいのやら。


「えっと、気晴らしでも行きます?」


 しまった。これじゃあ、ただのナンパじゃ──。


「行くわ! カラオケってものに行ってみたいわ。あと、スイーツってものも食べたい。それから……」

「とりあえず、カラオケから行くか。えっと……」

「織姫よ」

「はぁ?」

「だから、私は織姫っていうの!」


 あー、ちゃんと名乗りたくないってやつか? 彼氏のこと彦星って言ってたし……。ってか、やっぱり浮いてるから本物か!?


「あなたの名前は?」

「ユウダイ」

「ユウダイね。じゃあ、早速案内してちょうだい!」


 何が何だかよく分からないまま自称織姫とカラオケに行き、深夜のコンビニでスイーツを買い、俺の家で織姫が見たいと言った映画を見る。何だか、まるで付き合っているかのような時を過ごした。


「あっ!! ユウダイ、今何時?」

「2時半くらいだな」

「ということは、七夕は終わり?」

「だな」


 表情が青ざめた織姫に、どうした? と聞けば泣き笑いの表情で呟いた。


「帰れなくなっちゃった」

「はい?」

「七夕の日しか家から出入りできないのよ」

「ってか、それなら彦星と会ったまま帰らなければずっと一緒にいれるんじゃ?」

「ううん。それは無理」

「なんで?」

「パパが迎えにくるから」

「えっ? でもここには来てないじゃん」

「人間界には雷様は降りられないもん」


 雷様……。確かに降りてこられたら一大事だ。というか、織姫の父親が雷様とか普通に怖いんだけど。


「ねぇ、ユウダイ。何でもするから1年間泊めてちょうだい! お願いっっ!!」


 何てことだ。これじゃあまるでラブコメ的展開じゃないか。俺も織姫もフラれたばかりだと言うのに。


 今日は確かにアンラッキー7の日だった。だけど、この先は? その答えは1年後。






お読み頂き、ありがとうございます。

3分くらいで読める短編になります。是非、隙間時間にどうぞ( ゜∀゜)つドウゾ

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