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なろうラジオ大賞4

このゲームのような世界ではおふだが最強かもしれない

 僕は今ゲームの中にいる。頭がおかしい? そうではない。だって、世界がそこに有るのだから。


「こんなのはフルダイブ型でなければ有り得ない。でも、そもそもそれは小説の中のお話でそんな技術が実用化されたなんて聞いた事も無いしな」

 ただ、考えても分からないので、一先ず状況確認為に散策する事にした。


 分かった事は、ここは僕がプレイしているMMORPGによく似た世界だという事だった。

「ふふふ、成程成程。落ち着け、僕。これは、あれだ。お約束の、ステータス!」

 右腕を伸ばして掌を開くという動作を自然としてしまったが、中二病な訳ではない……筈だ。


「なん、だと」

 世界は無情にも沈黙を以て答えとした。その後あれこれと言葉を変えて試してみたがステータス画面に準じる物が現れる事は無かった。


『ピロピロ』

 突如スマホが鳴動した。

「はい」

「ヤッホー。私、マルよ」

 恐る恐る電話に出ると、それはフレンドのマルさんだった。


「何で番号を」

 マルさんとはチャットはするがスマホの番号は教えてなかったのだ。

「おやおや、その反応という事は、もしかしてステータスとか叫んじゃったくち? スマホで全部出来るようになっているのに。これもフレンドリストからの通話だよ」

 盲点だった。これぞ正に、灯台下暗し。


 それから色々と確認した。レベルやステータスは初期値に戻っているが、アバターや職業はゲームで設定したものになっている。僕は呪符師だった。呪符は選択する物によって効果が変わった。力を選べば力に上昇補正が掛かる。ただ、面白いのは食料を選べば食べ物が出て来て体力を回復させられたりするのだ。まあ、所謂、支援職というやつだ。


「ちょっと試してみるか」

 タイミングよく目の前の草原に向こうから兎を模したような魔物が近付いて来たのだった。僕はスマホの画面から呪符の項目をタップした。

「おふだ?」

 ゲームでは気にしていなかったが実物を見せ付けられると、どうみても何の変哲もないおふだであった。まあ、呪符だからそうであろうが。


「何故にペン?」

 スマホの画面からお札と一緒に油性ペンも出て来たのだ。

「まさか、書けと」

 ゲームでは選択するだけだったのに、随分とアナログになったものである。これでは一人で戦闘中に次々に使うのは難しい。支援職の性か。

「待てよ」


 僕は兎に殴りかかった。土煙と共に魔物は木っ端微塵になった。

「最強だな」

 僕はニヤリと笑った。


 お札には世界最強の力と書いてあるのであった。

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