表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/33

ケモ耳メイドは『前世』を振り返る


 只今、学園のカフェテラスにてもうすぐ午前中の授業が終了するお嬢様の為に、いそいそとランチのセッティングを王宮の侍女様と一緒にしているノワール(ケモ耳侍女)です。


 教室の方は、同クラスに公爵家傍系の令息令嬢が取り巻き(護衛代わり)として常に身を守ってくれておりますので、私はその間にお仕事(暗躍)させていただいております。

 私としては、令息令嬢(素人)にお嬢様を任せるつもりは無く、こっそりと見護るつもりでした。が、王太子サマががっつり王家の影にお嬢様を護らせると言うので信頼してお譲り致しました。本音は、授業中のお嬢様を観察したかったんですけど。


 えぇ〜と、お嬢様のお好きな野菜とハムのクロワッサンサンドとハニーミルクティーは準備出来たので……あとは、王太子殿下のお飲み物のカップの準備………は、王宮側が準備して下さるから大丈夫!

 お嬢様が入学する前に国王陛下は予見していたみたいで、学園には王宮調理人の専用キッチンと関係使用人が全て配置されており王太子殿下のお食事は王宮側の使用人の皆様が並べております。


 ………くっっ、嬢様の婚約者だから千歩くらいは譲ってやって我慢してるけど毎日毎日!

 公務とかあって学園の授業に出ない日もあるくせに、お嬢様の授業のある日は絶対に学園のカフェテラスで一緒にランチとか………! 公務はどうした! 公務はっっ 

 

 王宮の皆様は『本当に仲睦まじくて』と好意的なので喜んでランチの準備をしておりますけどね? えぇ、お嬢様のお世話を一人でしたい等と思っていてはいけませんね。


 王太子殿下のお食事は安全であるのが前提ですが、万が一ということがありますので、形式上毒味役の方が先に頂きます。

 

 その()()()として、もれなく付いてくる()()が。


 お嬢様と殿下が「うふふ」「ははは」と楽しげにお食事されているテーブルとは別のテーブルで食後の紅茶を飲みながら、こっちをチラッチラ見てる()()()が。


「ノワたんが入れた紅茶いいな……」


 ぼそっと呟かれた声もしっかり聞こえておりますよ、というか毎回毎回、何か言いたげな顔でこっちを凝視してくるルカス・モナ・バーンズ卿が鬱陶しいのです!!


 無視を続けて早五ヶ月。つまり、入学式から五ヶ月が経ちました。


 悪役令嬢のサマンサ嬢は公爵家という権力をフルで活用し派閥を作ろうと頑張っておられる様です。

 が!!! しかし、権力というならば、()()お嬢様の方が上なのでございますよ? 筆頭貴族のご令嬢ですからね?


 家柄だけでなく、お嬢様自身も素晴らしいですからね?


 妃教育も完璧と教師陣に褒め称えられ、休日になれば孤児院や救護院などの慰問に率先して行かれるし、職員とも仲が良く、共にお仕事に精を出されるお嬢様は未来の王太子妃として皆様に愛されているのです!


 ………まぁ一番ベッタベタ惚れしてるのは王太子殿下ですがねっ 

 王家もお嬢様の事は我が娘と言わんばかりに可愛がっている。


 誰がそんなお嬢様に『喧嘩』売ってるんでしょうね? ふふふ。


♢♢♢♢♢♢♢♢


 ゲーム【クロ恋】のヒロインは、10歳の時に街中で暴漢に襲われ誘拐されてしまうという設定があります。

 

 その時、既にアスラン王子の婚約者として立っていたお嬢様を亡き者にしようと考えた一部の貴族派の者たちが主犯という設定です。


『貴族派でそれなりに権力を握っていたキンディラン侯爵家が王制派に取り込まれ、更に次代の王の伴侶が、王制派の筆頭となれば貴族派の未来はない、と考えた者たちの暴走』という内容だったでしょうか?

 

 お嬢様は、誘拐での恐怖で家族以外の人との接触ができなくなってしまいます。

 

 その時、唯一お側でお世話できたのが私!!……まぁ、ゲームの私はメイドとしてハッキリ言って使えない部類でしたので……ほぼ慰め要員。

 生きたぬいぐるみみたいなモノだったわけですが。

 ……庇護欲出してお嬢様のお側にいるだけとか……本当にゲームの私って何やってるんだろ??

 そういえば、ケモ耳メイドさんって人気があったんだっけ。

 世の中、()()()()()()()が好かれるのね〜って思った記憶があるなぁ。(あぁ、私は()()()の好きなタイプと違うってことか)


 そんな二人が何とか肩寄せ合って頑張り、お嬢様も学園入学を直前に外に出れるようになった……所謂、引きこもっていたヒロインが『周囲との交流を図る中で成長していく』という、ちょっとした心理学ゲームの側面を持つストーリーに人気があったそうです。


 選択項目も普通は二択か、多くて三択のゲームが多い中でなんと六択もあってですね……。

 それも、ちょっとした言葉尻の変化でも相手への印象と好感度に差が出るから大変で。

 しかも、その選んだモノから更に分岐して選択肢が出るっていう……無限か?!(言い過ぎました)っていう位に現れる選択肢とエンディング。

 

 どんだけ、データ容量喰うんだよ?!という事でも有名なゲームでしたね。


 攻略対象者は王太子殿下の一択で、攻略対象者がたくさんいる訳では無いのです。

 あとは、『友人となったクラスメイトだったり先輩だったり教師だったりとの信頼度を上げ、周囲に王太子妃として認めてもらう』という内容で。

 私的には良かったです。一途に想うヒロインには共感できました。

 

 ただ、選択を間違えると死刑とかの死亡コースはないんですが……ほぼほぼ、病んでデレデレコース(それも、何通りかの闇具合がある)になるので、


『真のハッピーエンディングに辿り着くコトができない!!』


 と、ファン内で叫ばれていたとかいないとか?



♢♢♢♢♢♢♢♢

 

読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ