ケモ耳メイドは天敵と合間見える
ヤンデレとツンデレ、どっちがきゅんきゅんしますか?
作者は両方です(王子をどっちにするか悩みました)
お嬢様と出逢ってから、六年が経ちました。
獣人って人の十何倍の身体能力があるって言ったじゃないですか。
あれって、なにもしていなくても―――って話なので、武術を習うようになった今の私、エグい位に強いです。
武器持ってなくても身一つで騎士団一個小隊を軽々と葬れる位です。
でも、あえて私は武器を使ってます。
メイド服の中から戦闘時に暗器をじゃきっっと取り出して闘うメイド………うっ 萌える!!
はい、わたくしの趣味です。なにか文句でも?
もちろん、その他も頑張りました。
教養も作法も下級貴族令嬢どころか上級侍女並みに身につけ、お城に上がっても文句を言わせない位のレベルです。
メイドの仕事だって完璧! ……まぁ、最初の頃は、握力強すぎて『一体何個の銀製食器類を破壊するんだ?!』と怒られまくりでしたが……。
ジジョチョウノ オシオキ モウ ウケタクナイ………。
今では、繊細な硝子のグラスもなんのその、数秒で美しく磨くことができます。
そんな私は気付けば、お嬢様の専属侍女となっておりました。
そうです。メイドではなく侍女ですよ!!
この世界、獣人は人として見られる事が少ない。
功績を上げた事で幾許かの獣人が、人と同じ場所で暮らす事を許されている位です。
その獣人が、なんと、このクラヴァギア王国の建国時から既に筆頭貴族であった歴史あるボルク公爵家の令嬢、しかも、王太子の婚約者であるカルディナ・ファラ・ボルク様の専属侍女になったものだから周囲の反応がどんなものだったかは想像出来ると思います。
ただ、ボルク家の皆様(公爵御夫妻、お嬢様の御兄弟、家宰に侍女長から他、邸にいらっしゃる同僚の皆さん)からは絶大な信頼を寄せられていて。
逆に私が心配してしまったくらいです。
大事なお嬢様のお側に獣人がいて良いのか?!と。
いえね、私としては常にお側で護ることが出来るのは嬉しいのですよ。でも、それは、こっそりと……本当にこっそり陰からお護りしようかと思っていたので。
そんなこんなで、この国の筆頭貴族が獣人を重宝したという情報は国の上から下まで行き渡り、獣人たちの扱い方はここからガラリと変わることとなったのだそうです(クラヴァギア王国歴史書に記載)
………筆頭貴族の権力って半端ないです。
さてさて、先程も出て参りました。
お嬢様の婚約者【王太子】でございますが……そうです、この方こそヤンデレ王太子、もとい、私の天敵!! ふしゃーーーーっっっ
一年程前、お嬢様の専属侍女に抜擢されました私は、これからもお嬢様のお側にいる為、婚約者様にお目通りを願い叶えていただきました。
これは、私の死亡フラグ折りの為。
私にはお嬢様を害する気持ちは一切無いのだと、むしろウチのお嬢様の為なら何でもします!!という心意気を見てもらいたいと。
そして、出来れば悪役令嬢の毒牙からお嬢様を護る為の協力者として認識していただきたい!!
そう思ってのお目通りだったのですが……ウチのお嬢様が私を好きすぎてヤンデレ王太子の前でも私に話しかけたり、離れようとしても側に来ていちゃいちゃしてくるので………ダメ! お嬢様っっ 相手が違う!!!
違う意味での死亡フラグが立ちそうです!!
お嬢様っっ、やめて〜!!!!!
オオジサマノ メガ ヤミイロニ ソマッテルゥ〜(汗汗)
―――まぁ、いろいろなことがあった六年間でしたが、今年、婚約者であるヤンデレ王太子ことアスラン・フォール・クラヴァギア王太子はゲームの舞台となる学園に入学され、次いで、来年はお嬢様も入学されます。
ゲームのスタートまであと一年、私に出来ることは何か……と焦る気持ちはありますが、とにかく、お嬢様も自分も守ってハッピーエンドになることを目指し一層の修練に励む所存でございます。