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ケモ耳メイドは今世の幼馴染との過去を邂逅する①


――王都でも有名なナターシャ商会は、貴族家の御用達でもあり、平民の流行の発信地でもある。また、各国の要人にも信頼されており、国を跨いだ商売をしており、他の追随を許さない勢いである――


 王国に住む者ならば誰でも同じ言葉を口にする位、生活に溶け込んでいるナターシャ商会は歴史も古く、この王国の誕生と時を置かずして設立された。

 初代ナターシャは平民の娘であったとか、この国の民ではなかったとか、実は前王家の遠い血縁者で現王家の建国に陰ながら協力した人物だったとか……いろいろと推測されているが真相は明かにされていない。

 ただ気が付けば、国のありとあらゆる場所にまで商会の情報網が張り巡らされているというのが巷の噂。



 ――で、実のところ王家でも限られた人物しかこの事実は明かされていないけど、この商会、影が運営しているんですよね。


 なんで私が知っているかって? 

 ゲーム知識です。じゃなかったら知る筈もないじゃないですか! 

 とか言って、本当はそんな知識(ゲーム内容)すっかり忘れてましたけどね!!

 思い出したのはルカス様(一樹)に会って暫くした後。


『そういえば昔一樹が私の部屋でゲームしながらの実況中にさらっと言ってたわ!』


 と突然記憶が戻ったので吃驚しました。

 

 まぁ、ある事情によってその前からナターシャ商会の正体は知っていたので、どちらかというと記憶が急に戻るという事態に驚いただけなのですがね。


 どうして商会の正体を知っているのかと言うと……なんというか……せっちゃんと関わりがあってですね。





 せっちゃんと出会ったのは6年前。

 公爵家の専属バイヤーのお父様と一緒にご挨拶に来られた時、私は応接間の壁際で控えていました。

 とても人好きしそうな笑顔のライナーさんと、緊張してがちがちに固まっているせっちゃんは、旦那様と奥様、そしてお嬢様と御兄弟にお薦めの商品のご説明をしておりました。


 公爵家の皆様其々に言葉巧みに売り込むライナーさんの話術に感心しながらも『ほぅほぅ、お嬢様にその色のドレスをお薦めしますか……惜しいですね! もうワントーン明るい方が肌色に映えましたねっ』


 なんて、内心でお嬢様を信仰している私は呟いておりました。


 やっぱりお嬢様のことを一番わかってるのは私!!とドヤってました。


 そんな私の心情を読み取ったのかライナーさんがちらっと私を横目で見ていて。

 目があった瞬間、私を値踏みするかの様な視線を感じたので思いっきりスルーして差し上げました。


 そして、そんなライナーさんと私の様子に気付いたせっちゃんは更におろおろされてて……あの頃のせっちゃんは可愛かったなぁ〜。


 話が逸れましたが、とにかく、せっちゃんとはその位の接点でしかなかったのです。


 それからも二人の関係は変わらず、商会の従業員の娘さんとお得意先の邸のメイドとして一定の距離でのお付き合いをしておりました。


 

 暫くしてお嬢様の襲撃事件が起こりましたが、公爵邸は多少警備体制が厳しくなった位でそれ程以前と変わらない日々を過ごしておりました。



 半年が過ぎた頃でしょうか。

 お嬢様の就寝のお手伝いを終えて自分も横になろうと自室で寛いでいたのですが、明らかに公爵家の者とは思えない動きを察した私は窓から邸側の大樹へと飛び移りました。


 殺気や不穏な気配は無く、どちらかというと慌てている?様な雰囲気を感じ取り『暗殺者ではない』と判断しました。


 何処となく知っている気配だったのも判断基準となりましたが『何故、こんな時間に、一人でいるのか』が分からなかった為、確認しようと其方に歩みを進める事にしたのです。


 どうも人影が子どもっぽかったのですが油断禁物。気配を消して不審者の背後に回り、抵抗諸々できない様に素早く口の中に布を突っ込み、後ろ手を絡め取り、私特製の特殊繊維を織り込んだワイヤーで縛りました。


「暴れると糸で肉が切れますよ」


 耳元で囁く様に忠告すると、その人物は『ふぐぅぅぅ』と声を漏らし泣き出しました。


 あら? なんだか予想外の展開が来ましたね〜、とちょっと動揺してしまいましたが、早く終わらせないと明日のお嬢様のお支度に差し支えてしまうと思い出した私は、不審者の黒頭巾を除き顔を確認しようと覗き込みました。


「「……………」」


 互いに思いがけない人物と対面した為か沈黙してしまいました。


「………ライナー様のお嬢様がどうして?」

「……ふほ、ごふぇはばずでぇ」

 

 見知った方が、こんな夜遅くに、闇に紛れる為の衣装で、公爵家の敷地内にいらっしゃるのでしょうか?


 思わず手にしていた糸をきゅっと握ったら


「ん“ーーーーー!」


 と唸られちゃいました。


 あ、やっちゃった? でも、一応ここは人気がない場所だったからセーフでしたね。


「ライナー様のご息女のセッツ様ですよね? どうしてここに?」

「ふご! ふぅぅだ、はーーーーっっ」


 口の中から布を取り出した途端に大きく息をし出したセッツ様を観察しながらも片手に握っている糸の拘束は解きません。

 忍び込んでいた事には変わりないですからね。


 なんとか息を整えたセッツ様は思うよりも早く心拍数と発汗の変化がみられました。


『素人ではない?』


 私と同い年の商人の娘さんでしたよね? 


 不思議に思いながらも、明日の予定もありますから手早く事情聴取させていただきましょう。


 

読んでいただきありがとうございます。

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