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張り紙
誰でもない誰かの物語
閑静な住宅街のとある電柱に、張り紙が出されていました。
そこは帰宅途中の学生や社会人が
よく通る道でしたので、
自然と皆の眼に入ってきました。
赤字で打たれたその張り紙にみな何か有ったのかな、と
ちらりと読み始めました。
『この張り紙を見てる犯人へ
私は貴方を絶対に許しません。
絶対に見つけ出し、復讐します。
この町に住んでて、この道を通ることも知っています。
復讐はもうすぐです』
この張り紙は一週間張られ続けた末に
町の組合に不適切、と
撤去されました。
それから数週間、その道を通る人は
めっきり減ったとか。




