表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/5

†第3話†

「……お前が、時を止めたのか?」


 朱雀が聞くと、ラビリンス三世は頷いた。


「ああ。と言っても、この時を止める能力は天使や悪魔、あるいはアンタのような†悪魔の適合者─デビルズ─†には効かないんだがね。ただまあ、邪魔が入るのは嫌だから、時間を止めさせてもらったよ」


「ふ……俺にとっても好都合だ。これで、周りへの被害を気にすることなくお前をぶちのめせるぜ」


「ほざけ」


 すると次の瞬間、ラビリンス三世の背中に半透明の白い翼が出現する。


「俺は執行者。何があろうと、目標(ターゲット)は速やかに処刑(パニッシュ)する。覚悟はいいか?」


「無論だ……ところで、一つ聞かせてくれ。その眼帯……もしや、お前も俺と同じように特殊な“眼”を持っているのか?」


 そう言って朱雀は、自らの右目を赤く光らせた。するとラビリンス三世は、右目を覆う眼帯を指さしながら


「いや、これはたまたま昨日†瞼に宿りし悪性腫瘍─ものもらい─†が出来たから付けてるだけだ」


と答えた。


「ふむ……なるほど、な……」


 天使もものもらいが出来るらしい。驚きである。


「さあ、とっととおっぱじめようぜ!」


 するとラビリンス三世は、ロングコートの裏ポケットからナイフを二本取り出した。そして、一本ずつ両手に持ち構える。


「いいだろう……」


 朱雀もすぐさま、右手に†黄昏の剣─トワイライト・カリバー─†を出現させた。


 にらみ合う朱雀とラビリンス三世。彼我の距離はおよそ10メートル。勢いよく踏み込めば、すぐに相手の懐へと潜り込めるだろう。


「……」


「……」


 静止した時の中で、静寂が訪れた。


 闇に魅入られた聡明な読者諸君であればお気付きだと思うが、闘いは既に始まっている。どちらが先に動か、どう近付くか、どう攻撃を加えるか。何百通りもあるパターンを高速で組み立て、シミュレーションする両者。


 そして、そのシミュレーションを完了(コンプリート)させて先に動いたのは──朱雀であった。


「はあぁっ!」


 †黄昏の剣─トワイライト・カリバー─†を振り上げ、勢いよく飛び出す朱雀。その移動速度、驚異の時速160キロ。それすなわち、メジャーリーガーのピッチャーが投げる剛速球の速度に匹敵。


 そして一瞬にして敵の目の前まで肉薄した朱雀は、剣をまっすぐに振り下ろした。対するラビリンス三世は、顔色一つ変えることなく両手のナイフをクロスさせると、朱雀の斬撃を受け止める。






 ガキィィィンッッ!!!






 甲高い金属の衝突音が、静止した時の中に響き渡った。


 ラビリンス三世は素早く地面を蹴ると、後ろへ下がって朱雀と距離をとる。


(ふむ……どうやらコイツ、翼はあるが飛べないようだな……)


 朱雀はこれまでに多くの天使と闘ってきたが、その中で学んだことがある。それは、翼があるからと言って全ての天使が飛べるわけではないという事だ。昨日闘ったユーサネイジア四世は空を飛ぶことが出来たが、このラビリンス三世は一向に空へ上がる気配を見せない。


 つまり、飛べないのだ。


(なら、勝負は簡単だな)


 朱雀は深く息を吸うと、また敵へ向かってダッシュした。だが、ラビリンス三世はニヤリと笑う。


「空が飛べねぇからって……別に、お前が有利になったわけじゃねぇんだゼ……!」


「っ!」


 どうやら、朱雀の思考は完全にお見通しらしい。するとラビリンス三世は姿勢を低くし、目にも止まらぬ速さで両手のナイフをシュンシュンシュン!!と閃かせた。


 そして次の瞬間。






 ズバズバズバァァッッ!!!






 なんという事か。朱雀の全身が、一瞬のうちにナイフで切り裂かれてしまったではないか。


 闇に魅入られた読者諸君でも、今のラビリンス三世の攻撃は見えなかったに違いない。


「なん……だと……」


 朱雀は驚愕と共に片膝をついた。切り裂かれた学ランの所々から、鮮血がほとばしる。


「驚いたかい? これが俺の必殺技、†閃光の百裂刃─フラッシュ・ハンドレッドナイフ─†だ」


(まさか……俺が……†悪魔の適合者─デビルズ─†であるこの俺が、敗北(まけ)る、だと……!)


 朱雀の脳裏に、この時初めて“敗北”の二文字がよぎった。


「呆気ねぇ……これが†悪魔の適合者─デビルズ─†かよ……」


 ラビリンス三世は呆れたように笑いつつ、朱雀にとどめを刺すために歩み寄る。


「じゃあな、坊や」


 そして、朱雀の首をナイフで描き切ろうとしたその瞬間──朱雀は無意識のうちに†漆黒の覚醒─ダークネス・アウェイク─†を発動させた。


「!?」


 朱雀の異変を感じ取り、素早くバックステップするラビリンス三世。すると朱雀の右目だけでなく左目も、赤く光った。


「両目が……赤くなっただと……!?」


 この衝撃の展開について行けないという、闇に魅入られた読者諸君に説明しよう。


 †悪魔の適合者─デビルズ─†と言うのは、悪魔に力を分け与えられし存在。故に、その力は非常に中途半端で制御の難しいものとなっている。だからこそ目は片方しか赤く光らない。


 だが、両目が光った──これはつまり、†漆黒の覚醒─ダークネス・アウェイク─†が発動したという事。


 今朱雀は、完全に†悪魔の力─デビルフォース─†を使いこなせるようになったという事だ。


「感謝するぜ、ラビリンス三世……限界まで追いつめられたことで、俺の力が覚醒したらしい……」


 両目からまばゆい光を放ちながら、おもむろに立ち上がる朱雀。気が付けば、彼の全身の傷は再生していた。


「ここからは……お前に本当の†闇†を魅せてやる……(暗黒微笑)」


 そう言うと彼は、右手に持っていた†黄昏の剣─トワイライト・カリバー─†に意識を集中させる。すると†黄昏の剣─トワイライト・カリバー─†が赤い煙に包まれた。


「な、なんだ……!?」


 眉間にしわを寄せ、衝撃の光景を片目で凝視するラビリンス三世。


 その赤い煙がおさまった時……†黄昏の剣─トワイライト・カリバー─†は、姿を変えていた。それまでは片手剣程の大きさに過ぎなかったのだが、一瞬にして巨大かつ幅広な刃を持つ大剣へと“進化”していたのである。


「これが、新たなる†黄昏の剣─トワイライト・カリバー─†の姿……そうだな、これを俺は†黄昏の地獄大剣─トワイライト・インフェルノ・ビッグカリバー─†と名付けよう(暗黒微笑)」






 †黄昏の剣─トワイライト・カリバー─†が……






 †黄昏の地獄大剣─トワイライト・インフェルノ・ビッグカリバー─†に……






 進化(エヴォリューション)……!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ