最終決戦決戦②
最終決戦ー当日
デッカ「敵の出方が解らない以上基本はやる事は同じだ。
先程言った様に俺が先陣を切る、後にリアム、後方支援に
マッシュ・オルデランは遠距離が届く範囲を維持しながら
支援を頼む、現状の変化があれば、青い煙矢を放て」
「後、不安を与え指揮が下がると完全にこの戦には勝てない、
大将には、この話は伏せてある。
話せば後退もいあり得る、今引けば物資が届きまた最初からに
なる。そうなればもう勝ち目はない。
何が出ようが兵士の数だけは少ない今が好機」
「後は各、各々の判断を中心に行け、いいか、決して油断するな
油断は即、あの世行きだ」
各陣営が横一列に並ぶ、号令が両陣営から流れる。
デルト城側大将「いいか、我々は有利だ、しかし油断するなかれ
勝ち戦に、つけ込ませる隙を与えるな。生きたければ全力で
生け!生!有る限り!皆殺しにせよ!」
「突撃ーー‼︎」
号令と共に決戦は始まった。
各々が戦場に出た事を後悔していたが、最早、目の前にある
勝利とその恩恵を夢見て……
血飛沫が舞い、目をくり抜かれ、人は戦い続けた。
残酷なんて言葉は有りはしない、殺らねば、殺られる……
とどめを刺さぬものは己を殺す……
腕がもげる者……
頭をカチ割られる者……
泣き叫びその場を逃げようとして味方に殺される者
愛する者の名前を呼びながら生き絶えてゆく者
獣の様にひたすら無心に罪を重ねる……
「俺は田舎に帰るんだ!」
「俺だって帰るんだ!」
ーー
「愛する者がいるんだ……仕方なく来たんだ」
「俺だってそうだ!」
ーー
理由は要らない
言い訳は要らない
後悔は役に立たず
人の終わりを誰もが最も感じる、触れる、見る
加害者も被害者もありはしない……
人は何故繰り返すのか……
知っていながら他人事なのだろう
生きながらえる時間が長い程、罪を犯す
戦うべきは自分の筈が儚く消えゆく命や愛、希望……
そこにあるものは……
ーー貪られる希望……ーー
デルト城側の圧倒的優位の状況が続く。
目的の川近く砦まで残り1キロ程に来た。
デルトの総大将は歓喜に震えていた。
ーー
デッカは残りの武器と防具に宿る氷結の武器を出さず、
槍で敵をなぎ倒す。
リアムもその攻撃から免れた物を尽く抹殺してゆく。
先行する兵はデッカ達を追い抜き砦800メートル付近まで
接近していた。
中心の密度の高いエリアはデッカ達が、左右別れて挟むように
味方の兵は進撃する。
後方にはマシュー、ドルフレアが一定感覚で弓を中心に
次々と倒して行った。
デッカ「このまま何もなければ良いが……」
リアム「!空気が……変わった……」
「来るぞ……」
デッカ「の様だな……リアム最初から飛ばすぞ」
リアム「……無論………」
予感の通り辺りに冷たい空気が漂い始めた……
敵総大将「下がれ!出すぞ!」
そういうと敵砦から感高い響く叫び声が聞こえて来た。
デッカ「声はするが姿が見えない……リアム、お前はどうだ?」
リアム「俺にもまだ見えぬ……」
声はどんどん大きくなる
その異様な叫び声に我等デルト城側も敵の兵も動きを止めた……
土煙りが見え始め、その煙と共に倒れてゆく敵兵士
声が近くなり、やがて味方兵士もバタバタと倒れ始めた。
デッカ「気を抜くな!」
(何だ…何が起こっている……)
リアム「……」
!
「デッカ!左だ!後ろに飛べっ!」
飛び退くデッカの腕から血飛沫が飛び散る。
リアム「何故かは解らないが景色の歪みを見ろ」
奴は景色と恐らく擬似する能力を持つものだ!
景色に微かに歪みを見て取る事が出来る」
デッカ「了解した」
(リアムが声をかけなければ……首から上が離れていたな……
しかし……どうしたモノか……」
マシュー「こちらも歪みは何とか確認した……だが速すぎて矢を
放つ事が出来ない!」
デッカの周りを回る魔物が彼を少しずつ追い詰める。
致命傷は避けるモノのこれでは時間の問題であった。
デッカは自分の中心に氷の円陣を2重に引いた。
デッカ「まずいな……致命傷を避けはしているが、これでも
反応が少し早くなるだけだろうな……」
「リアム!俺にトドメを刺しに来た時何とか奴を凍らせる
後を頼んだぞっ!」
リアム「その必要はない……」
円陣にリアムが飛び込んだ。
デッカ「馬鹿野郎!何故来た!今お前を失う訳には
ゆかぬというに!」
リアム「大丈夫だ、策はある」
リアムは籠手に一体の魔犬をなだめる。
「すまない……お前達もボロボロなのは理解している。
もう少し俺達と共に戦ってくれ」
デッカ「成る程な……そういう使い方もあるか……理解した、
足止めは任せろ」
策を言う訳では無い。しかしデッカはリアムの策を理解し
槍に力を注ぎ込む
デッカ「マシュー、ドルフレア!とどめは任せる」
マシュー「了解した、ドルフレア、俺の周りの敵を頼む、
俺は狙撃に集中する。光の力が宿る矢は、怪物戦でもう一本
しか残ってはいないからな、俺の命、お前に預けるぜ……」
ドルフレア「了解しました……」
ーー
デッカ、リアムの周りを高速で駆ける魔物の動きを
2人は集中する、氷の円陣結界に触れた音を頼りに……
そして2重の氷結界が同時に音を放つその瞬間をリアムは
逃さない
リアム「コルトボーン!」
叫ぶと同時に魔犬が籠手から放たれた、魔犬は魔物の匂いと
同族のオーラを逃さない。魔犬ならではの強みを生かし
匂いで行動パターンを読んでいた。
魔物の首を捉える魔犬コルトボーン、唸る魔物の声すら出せない
程の強靭な顎は、捻りながら喉の奥に食い込んでゆく。
意識が集中出来なくなった魔物の透明化は溶けた。
デッカは素早く魔物の足に氷の槍に溜めた冷気を放った、
その同時にマシューの放つ光矢が魔物の眉間に突き刺さる
……かの様に見えた
何があったのか理解出来ずにいる彼等がの前に現実が飛び込む。
魔犬コルトボーンが、魔物の足元に落ち……
光矢は魔物の眉間スレスレで、止められていた。
光矢の威力は凄まじく魔物と言えど、当たればひとたまりもない
その一撃を止めたのは……
黒服の男だった……身なりは貴族の様に整い、下品ではなく質素に
まとめられた執事のような男の片腕に光矢は虚しく止められた。
黒服の男「初めまして、無粋な真似をして申し訳有りません」
「わたくし、名をモズと申します、この度あるお方から、司令を
受けまして下賤ではありますが、此方の薄汚い人間の加勢に
参った次第で有ります、どうぞお見知り置きを……」
まぁ……ほんの数分での……お近づきではありますが」
男は表情1つ変えず、異様な雰囲気を放つ人物であった。
しかし彼からは絶対的な強さを醸し出していた。
魔物の比にならない事は歴然だった。
しかし、それだけでは無かった……
モズ「少々お待ち下さい」
そう言うとモズは口から黒い煙を吐き始めた。
徐々に煙は形を成し、魔物が彼等の前に現れた……
「これだけでは有りませんよ。期待して下さって結構ですよ」
モズは懐からベルを出し、それを鳴らした。
「チリーン……」
その美しい音色が波紋となり辺りに円を広げる様に
美しく響く……
辺りの地面から黒い煙が滲むように溢れ出す……
誰もがその異様な光景から目が離せない……
煙が落ち着くと辺りに居るはずもなかった
骸骨兵が辺りに出現した。その数およそ300体
敵味方、どの兵も、この場に生を感じる者は
居なくなっていた……
デッカ「……何て……事だ……」
モズ「おやおや、土煙がタキシードを汚してしまいましたね。
皆さま、驚きの様ですが、よもや……これで終わりだ、などと
夢々思わぬ事ですね」
「私は偉大なる、ある方からの命で此処にいる訳ですが、
あのお方の名誉ある配下、5将軍が1人……おっと下賤な
お前達に語る事すら失礼に当たりますね」
「お前達、#蛆虫____##共は、みな此処で
朽ち果てるのですから」
ニヤリと笑うモズの顔は先程と変わり口は裂け、ドス黒い煙を
口から吐き、目は真紅に輝いていた。
「さて、そろそろお仕事と参りましょうか」
再びベルを2回鳴らすモズの合図に、オルデラン側の陣営から
兵士がその謎の集団に次々と惨殺しながらモズの側に集結する。
その姿は一見蛮族のような出で立ちをしているが、
顔は山羊の様な角を持ち目は異様な光を放ち紅くそして黒い。
デッカ「魔物……なのか……なんて数……なんだ……」
マシュー「アイツら……味方ではないのか?」
モズ「さて、オルデラン兵士達よ、お前達の王への盟約で
我等此処にいる訳だが、#其方達____#の城は我等が
貰い受けました。王は手厚く人質としている、
なんせ盟約がありますからね、殺しはしません、ご安心を」
「しかし貴方達に加護はありませんよ、人間は我等の食料、
今此処で我等の餌となりなさい!」
「此処に存在する生命の全てを貪り尽くすのです!」
「さぁ!我等が偉大なる君主の名において!その欲望を
貪り尽くせ!」