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リアム物語 天使と悪魔の天秤  作者: しおじろう
17/29

2日目夜



ーー2日目夜ーー



リアムはベースキャンプで疲労や筋肉の断裂や損傷の為、

高熱を出し寝込んでいた。


周りの景色がユラユラと歪んで意識が混濁する。

瞼が無い彼は特製のアイマスクの上から濡れたタオルで顔を

覆い被せる。


普段から眠る事が少ない上の、この状況から訓練で培った

浅い眠りにつくことなく意識を失う。


暗闇に生きる者は、暗闇での生業が多く、逆もしかり、暗闇は

自分を危険に晒す時間でもある。



夢を見るリアム


ーー



白い靄がかかる風景に彼は幻影のネロに対峙する。


「お兄さん人を殺す気分はどう?……さぞいい気分なんだろうね」


「大義の旗を掲げ、自分より劣る者を虐殺してゆく……

お兄さんに関わる者は皆、この世から消えて無くなるね」


「あ……僕もそうだったな………騎士になって人を助ける僕の夢


お兄さん守るって言ったよね……クスクス……」


「力も無いのによくそんな事が言えたね、お兄さんが何も

しなければ、ひょっとして何も起こらず僕は助かったかも

知れないね……」


リアム「す……まぬ……、俺は君に何もしてあげられなかった……」


?「ち……」


ネロ「そうだよ、結果何もしてないね、お兄さんは生きる資格

とか無いんじゃ無いかな。

これからも先、色んな人を巻き込んで人生を奪って行くんだよね」


リアム「俺は生きていてはいけない人間とはわかってる……」


ネロ「でも大概の人間はそうでもあるよね、自分が一番大切、

愛する者、とか口では言うけど、自分の自己満足、偽善者、

てやつだよね」


「いざとなったら、逃げ出すし生きるための尊厳てゆうなら

何してもいいよね、他人の命を奪おうが、自分の命ではないし、

魔物て結局、人なんだよね」


?「ち……が……」


ネロ「人は自分が生きる為に家族さえも金や欲望の為に、

壊し合うし家族だからって、大事にしなきゃという世間体の中で

生きてるんだよね」


「町ではルールの中ではみ出たモノを排除、大勢で弱きものを

虐める習性は獣以下だよね。

英雄と言われるモノに媚びへつらい、はみ出さないように

生きる事を目標に生き、長いモノには巻かれろって言葉に

自信さえ持ってる」


「言葉は自いい所だけを厳選し聞き、都合の悪いものは排除する

都合の良いものしか、モノを言わぬ人々。

弱いものは更に集まるとルールを盾に、虐げ始める」


「老人は若者に、自分の弱さを盾に堕落しする。

町でもよく見るよ、待合の馬待ちでも、子供や大人が危険な道側

通らせるような、平気で真ん中、占拠したりするよね。

家庭でもそうさ、やらなきゃいけない事をせず、年のせいにして

愛してると口では言う家族に結局迷惑をかける」



若者は老人を、男は女を、女は男を

子供は大人を、大人は子供を

口では偉そうな事言って、自分だけはそのルールを

平気で破る者、


緊迫の中、堕落の中、自分を見つめない者、全てがそうなる。



人は皆、自分、そして自分の生まれた場所や年、性別、言葉、

全てにおいても無意識に枠を作り、それ以外のモノを虐げるよね

まるで粗を探すために生きてるような」


男は女を守り、女は男を守り、子供は大人を守り、大人は

子供を守り、若者は老人を守り、老人は若者を守る。



男は女の容姿での判断が殆ど、慣れれば、女を道具扱いし、

力あるものは、持て余す力を老若問わず攻撃の対象とする。

我が全て、謝る事を負けとし、自分が全て正しいと思い込み

の激しさ故の無知だよね。


その攻撃性の高さはやがて他人に価値観を植え付け、

自分の世界が全てと勘違いし、権力やお金に執着しする。

時代にあった力を持たぬ者はそれを妬み、結果全ては暴力へと

戻るよね。




女も男はケダモノて言いながらルールを盾に虐げ、

ルール外で起こる犯罪にはいざとなったら、

男でしか守れない状況もあるのに、

起こった時だけ助けてもらおうとする卑しい心


生きる為だけに貴族や金持ちを基準に男を値踏みする。

そこに愛は後から生まれるなんて、最初から無いのに生まれる

はずも無い。幸せだと思い込みで生きようとするよね。


子供は親に守られてる事を良いことに自制が効かず、大人も

同じだけど、その純粋な暴力で虐めや残虐性は高いよね。

守られるてゆうのは裕福な所だけで、それに甘え、いつしか

加護が受けられない事を理解しようとしない。


親を奴隷扱いする始末、因果応報、大人になったら

自分に返ってくるのにね。


それを叱りもしないで嫌われる事を恐れ、野放しにする親、

大事な子供が将来一番困るのにね。


守る事を履き違える親。


年を理由に全てを諦める老人、結果、それが周りに迷惑を

かける事になる事になろうとも、その全てを心で放棄して

逃げるよね。生きてきた年数、心を鍛える時間は

沢山あったろうに。


挙句、誰が弱い故の守られるか、ルールの中でも争いは

起こるよね。


人間なんてやっぱり、集まれば悪い事をし、堕落し、


1人になっても悪い事をし堕落し、


老若男女共通して、今言った比喩、本当は全ての人間に

当てはまるよね。


そんなモノに守る価値なんてあるのかな?


多数決主義なら、悪い奴の方が多いなら、いっそ綺麗に浄化して

しまえば良いのにって思わない?


理屈こねても質は変わらないよ、


黒のインクに数滴白入れても黒は黒、今の人間はその黒が

うーんと大きい海みたいな大きさなんじゃないかなー


そうでしょ?お兄さん……


リアムは何も言い返せなかった……


「……」


「……」


静まり返る意識の中でリアムの目が黒く歪んで行く……


憎しみが悲しみが、諦めが、絶望が彼を覆い始める……


ーー


ネロの幻影「ちがーーーうーーー‼︎」


リアム「!」


「……お……にぃ……さ……ん……」


「おにぃ……さ……ん」


「お兄さん!!!」


僕の声をちゃんと聞いて!意識を逸らさず僕を見て‼︎」


リアムはハッと夢の中で気が付いた。


リアム「ネロ?」


それは今まで聞こえていたのに気付かないフリをしたリアムの

心が初めてネロの幻影と向き合った瞬間だった」


ネロ「やっと僕を……見てくれたね……」



過去の思い出と後悔、懺悔の気持ちでネロに目を背けようと

するリアムにネロは背中からそっと手を肩において

語りかける。


背中越しに懐かしい暖かさを感じるリアムであった。


ネロ「お兄さん、聞いて、僕を助けようとした気持ち、

ハグロさんがした事、何より自分の正しいと思う気持ちを

あの時の気持ちは本物だったからこそ、僕は今ここに居る」


「人は変わらないとか、変わるとか関係ないよ、論議より

変わる為にまず個人個人がそれに気付かないと

いけないと思う」


「家族や恋人、友人、みんな、愛する気持ちに嘘はない、

心が弱いからみんなそうなるだけで、その奥の気持ちに

正直になれるかは自分次第なんだよ」


「お兄さんはお兄さんで自分の奥にある本当の自分の

あるがままに生きる事こそが、その真実へと向かうんだよ

答えなんてわからないけど、けど、けど……

みんなが、そうなれば、いつかきっと……」


「やり直しても答えは今と変わらない。白紙から始めても人は

同じ事を繰り返す。やり直すんじゃなくて、始めるんだ ‼︎ 」


「お兄さん……僕はいつでも側にいたんだよ……

気付いたのはお兄さんが僕を求めたから、僕が求めたから……

お兄さんと僕の繋がりは真実だからこそ、愛してくれたからこそ

僕もお兄さんの側で助けたいと思わせたんだ」


「忘れないで……思いやる気持ちが温かい事を……

暖かさこそが愛なんだと……

負けないで……自分に……みなを幸せにしてあげて……」


ネロの幻影が消え出す……


涙にかすれる視界の中、必死にネロに手を差し伸べるリアムから

離れるように……しかしリアムとネロを繋ぐ暖かな光の帯は

そっとリアムの心臓へと繋がっていった……」


彼の思いは無駄ではなかった。


彼の行動が全て正しい訳ではない


しかし彼は後悔という概念に捕らわれ身動きの出来ずにいた

自分を縛る何かに、1人では越えられなかった壁を1つ

越えることが出来たのであった……



「あり……が……とう」


彼の心の声だけが彼を包む暗黒の空気を綺麗に押し流した……


最終決戦まで、あと6時間……







































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