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リアム物語 天使と悪魔の天秤  作者: しおじろう
14/29

第1日目 ⑵







灼熱の鎖を体に食い込ませ、もがく身体を灼熱の熱と

鎖の締め付けがリアムを苦しめる、


痛烈な連続攻撃と合体攻撃に配備された防具の肩と

腹部位は既に破壊されていた。



心の奥で声が聞こえる……


《おにぃさん……名前を呼んであげて……彼の防具の名前を……》


リアムは防具の発動条件を思い出した。

「コルトボーン……」


締め上げられた鎖が食い込む中、何とか声を出したその時

リアムの両手の籠手から遠吠えが聴こえたかと思うと

魔犬コルトボーンが、締め付ける鎖を豪快に引き千切った。


「ウォォォォォオオオン……」


リアムの両手が蒼白くボヤけた様に見える。

その籠手が発する青白き炎の様な形は凶暴な犬の形をしていた。


これこそが《魔犬コルトボーン》であった。


切れた鎖の挙動に敵2名が尻もちをつく、残り1人はすかさず

その隙を狙われぬ様、間髪入れず追撃をかける。


敵の鎖がリアムの顔面を目がけ、轟音を唸りながら放たれる、

両手から、またもコルトボーンが両側から

鎖を挟み食いちぎった……


敵殺人鬼「どけっ詠唱は終わった!」

「放たれよ豪玉火炎弾!」


直径が10メートルにもなる巨大な火の玉が放たれた。

いかにリアムが素早く動けようとも、瞬時に10メートルは

移動出来る筈もない。


しかし彼の籠手に宿るコルトボーンはリアムの両手を握らせ

形状を一体となり、大きく口を開けた。


熱風がリアムを襲う。


コルトボーンはリアムの手から弾丸の様に火球に向かった。


大きな音をたて、周りに蒸気が立ち込める、

収まる蒸気の向こうで、敵が驚嘆の表情を見せる。


戻る魔犬の口から火の粉が飛び散る……

魔犬はあの巨大なエネルギーの塊を食ったのだった。


(凄い……これならいけるかもしれない)


魔犬は食ったエネルギーを剣に伝達する、赤き炎が剣に絡みつく


敵詠唱組2人はすぐさま、武器を剣に変え、

その異様なエネルギーに危険を感じ間髪入れず、

襲いかかる。


1人は上段に1人はリアムの足目がけ斬りかかる。

その攻撃は十字に形取られ左右上・下への回避を無効とする

暗殺者上級のコンビネーションであった。


その攻撃を右手から伸びる魔犬、左手から伸びる魔犬の牙が

剣に噛みつき攻撃を防いだ。


同時にリアムの右手の長剣が、上段の殺人鬼の心臓を貫き

左手のハグロに託されたサーベルが下段の殺人鬼の頭を

刺し貫く。


血飛沫をあげて倒れる2人。

切った構えがまだとけない態勢で倒れる2人の後方から

すぐさま後方の3人が鎖を絡ませブーメラン状に変化させ

素早く隙のある中段目がけ襲いかかる。


流石は殺人鬼と言うべきか、その躊躇なき状況に合わせた

コンビネーションはSクラスギルドのものであった。


(まずい……)


ガラ空きの胴体目がけ轟音と共に唸るブーメランがリアムの胴体

に直撃する……


「キィィィィン……」


「?」


リアムは腹部を見ると冷たい感触と共に胴を氷の塊が

張り付いていた。


後方にいたデッカの氷系槍装備アイスドルンからの

支援であった。


まさかのデッカからの支援で、驚くリアムであったが、

今や彼もプロ、すかさず後方に飛び退き、

態勢を整え直そうとする。


3人目がけ、強化小型特殊弓(戒)に2本の弓矢を装着、

魔犬コルトボーン2体をその矢に宿らせ、追撃する。


魔犬は遠吠えの声を高らかに3人中左右の2人の首元に

噛み付いた。


その噛み付きと同時に、籠手から放たれた魔犬が繋がる尾状の

伸縮性の引っ張りを利用し、携えた長剣に魔犬が吸収した

同時属性の炎に宿した力と共にぶった切った。


その勢いを更に利用し、剣先の貯めた炎弾を前方に放つ

辺りは豪炎と共に、人を消し炭の様に消えていった。


ほんの一瞬の出来事であったが、その前方にいた

敵兵士はほぼ全滅する程の威力があった。


残された敵は数名と、先程の凄まじい爆炎を耐えた怪物一匹のみ

残された敵兵は散りじりに叫びながら逃げ出した。


「ばばば化け物が!悪魔だ‼︎白い悪魔がいる‼︎」

そう叫びながら逃げる兵士をデッカは1人も逃さず仕留めて行く。


デッカ「やるじゃねぇか……お仕置きは後にしてやるか……」

不敵に笑うデッカであった。


デッカは《鴉のついばみ》でも3本の指に入る

屈指の実力者だった。


しかし彼の組む相手は尽く生き絶え、噂ではデッカ自身が己の

手柄の為に仕組んだという噂が絶えぬ、胡散臭い男であった。


彼の装備する武具は氷で統一され防具にも攻撃にも、同属性を

携えている為、攻撃に対しても2つの意味の違う目的の

防具の魔力すら攻撃に上乗せする事が出来る。

防御に関しても同じ事が出来た。


攻守共に通常の2倍の力を発揮する事が出来た。


しかしこのやり方は双方別の属性にする理由があった。


己の器以上の物は許容範囲を超える為、氷なら己自身も

凍らせてしまう炎なら放つ自分の身すら焼けて

灰となる為でもあった。


更に別属性にすると状況変化についていきやすい利点、

大勢を纏めて焼き払う事が出来る炎系が好まれる中、

彼は対人に強い氷系を特化され、

這い上がって来た唯一無二の彼であった。


氷系は雷系にとても弱い、万能型ではない、

このやり方で這い上がった彼の実力は

認めざるを得ないものだった。



ーー



すかさず、先程の攻撃には耐えはしたものの、弱った怪物に

デッカ、リアムが追撃する。


リアムが上空に飛び、長剣の炎を意味のない帯状にした派手な炎

を怪物の目の前放つ。


気がそちらに向いた瞬間、足元に滑り込むデッカが槍を回し

怪物の両足に切り掛かりながらも足元を凍らせ敵の動きを止めた。


倒れこむ巨大怪物の頭上をリアムが飛ぶ、トドメの一撃、

しかし怪物は本能で手で保護する姿勢を見せた。


(これでは腕に刺さるだけ)


リアムはデッカを信じた。


ためらう事なく、長剣が怪物の頭上を守る手に

突き刺さそうとする。


彼の長剣の切っ先が、氷の氷柱のようなもので

長さを割り増しし巨大長剣と形を変貌させた。


「グサっ……」


「……」


辺りが静まりかえる……



風が止み荒野の砂埃が徐々にはれてゆく……


デッカが見た姿はリアムが自身の支援をフルに生かし、

怪物の手を貫通した長剣が深々と怪物の頭に突き刺さっていた。





この日の戦いは、リアムの活躍により戦況を大きく変化させた。

主力部隊の半分を失った敵兵は後方へと退避。


マシュー、ドルフレアも、担当の怪物を後方支援型の武器を

うまく使い2体とも撃破していた。




こうして、戦争1日目は終了した……



ーー魔犬コルトボーンーー


蒼の炎の犬の姿をした防具に宿る獣系の魔獣

1つの霊体に2つの頭を持つ


かなり巨大なエネルギー体を喰らう事により、その力を従者に

伝達する事が出来る。


牙は鋭く鉄をも噛み砕く力がある。

魔獣や魔物の類は例外を除き神官が得意とする光の力にはとても

弱い性質を持つ。


霊体の体が伸びる効果範囲は約最大10メートルと言われているが

個体差と従者の霊力により大きさ、色、特性は変化する。













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