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リアム物語 天使と悪魔の天秤  作者: しおじろう
11/29

目には目を

 






  一瞬の景色の変化に盗賊達が一瞬リアムから目を離した

 その瞬間すでにリアムは彼等の前から姿を消していた……


 盗賊「なんじゃあ!これは!此処はどこだ‼︎」


「アジト……な筈……」


「そんな事より、さっきまで居た男見たか!何処行った!」


 ザワザワ……


「アイツ……噂で聞いた事がある殺し屋じゃねーか?

 例の人殺しの《鴉のついばみ》集団の……

 Sクラスの殺し屋には妙な魔法使う集団が

 いるって聞いた事がある……」


「お、お、お、俺ら殺されるのか⁈こっここ殺される‼︎」

「逃げろ!」

「逃げろったって……どっ、何処へ……」


 ビルド「やかましい!おめーら!落ち着きやがれ!」


  盗賊「おめーに付いてきた末路がこれだ!

 今更、指図すんじゃねーっ!なんとかしやがれ‼︎」


  しかし既にパニックを起こした人間達をまとめるのは容易な

 事ではない。


  各々が元々蛮族育ちの彼等は既に統率力は無かった。


「逃げろ!ヒィィ」


「どきやがれ、この糞野郎っ!」


  醜悪に、幼稚に、彼等は我先にと出口の無い出口を探す……


  バラバラになり、逃げ惑う盗賊


  ビルドを守る幹部の配下2人を残し霧散していく盗賊一味


  盗賊一味が去った後には既に5人が知らぬ間に息絶えていた……


 ーー


 見張りだった男2人


「どうなってんだ此処は……どこ行っても壁がありやがる……

 クソ、なんでこんな目に合わなきゃいけないんだ、チキショウ」


「おい、早く北側へ行くぞ」

 もう一人の見張り番「ヒィィたた助けてくれ!この岩

 もたれたら顔が顔が……」


 その岩から顔が出て、見張り番の左腕を噛んで離さなかった


「おっお前なんだ!それは!」

「ヒィィ早く助けてくれ!痛い、今にも腕が……千切れそうだ」


  持っていた斧で岩を叩き割ろうとするも、歯が立たない、

 岩は男の腕をユックリと噛みしめるかのように

 メキメキと音を立て、見張りの男の腕を食い千切った……

 叫ぶ男の断末魔のような叫びに、驚いたもう一人の門番が

 逃げ惑う。


「おお俺を置いて行く気か!」


「ああ当たり前だ!ヒィィ巻き添え食らってたまるか!」


 見張りの男は駆け出した。


 なんなんだ!なんなんだ!と叫びながら……


  息が切れ、辺りに警戒しながら腰を落とす男の足に地面から

 青白い無数の手が伸びる。


  その1つは細く見覚えのある腕と指だった……

 そうレイルの腕が見張りの足に絡みつく


  その瞬間、掴まれた足が膝から落ち、切り離された足は

 レイルの腕に掴まれ、闇の地面へと沈んで行った。


「ぎゃぁあ‼︎痛ぇえ!」

 ヒィヒィ泣きながら男は鼻水と涙を流しながら這いつくばる。


 男のすぐ背後には既にリアムが立っていた。


 リアム「代償をもって帰る時だ……」


 男「たた助けてくれ!ビルドが悪いんじゃねーか!俺は言われて

 見張りしてただけじゃねーか!」


  リアムは岩に向かって何かを呟いた

 すると突然、その声に反応する様に岩の一部が

 溶岩の様に真っ赤に焼け出した。


「話はお前が報いを受けた後だ……」


 冷酷にリアムは門番の腕を折り、指を落として行く


 一本…そしてまた一本……


 リアム「楽しいだろう、お前は楽しんでたからな……」


  叫び、もがく門番の腕を掴み、出血で召されぬ様、止血の為、

 丁寧に焼けた岩へ傷口を押し付け止血と切断を繰り返す。


  その度に叫ぶ声が空間全体を包み、あちらこちらに

 逃げ惑う他の盗賊を更に恐怖に陥れる……


 《まだ報いは終わってはいない》と言うかの様にリアムは

 足の指も全て落とした」


  人は足の指を全て落とすとバランスが取れなくなる、

 もがき、這いつくばる姿は『イモ虫』そのものである


  意識が飛びそうになると、暗殺術の訓練で学んだ意識を戻す

 急所に激痛を男に与え、レイルが受けた全ての痛みを与える。

 口に自害すら許されぬ歯も全て折りながら。


  やった罪は、被害者に行った同等の報いを受けさせてから

 粛清を行う、これがリアムの考え方である。


 ーー


 男は懇願する「もほう……いい……でひょ……」


 リアム「お前がもたらしたのは痛みだけでは無いであろう

 まだだ……話は聞いてやる……生きていればな……」


 そういうとリアムは焼けた岩に男の顔を押し付けた


 叫ぶ男


 リアムの腕がユックリと男の背中からめり込んでゆく

 指が皮膚を貫通しにくを掻き分け心臓に到達して行く。


 男「むがぁ!それ俺がやったんじゃ……ね……」



 リアム「もたらしたのは、お前だ……そして、この罪も含め、

 俺自身、返す時が来るまで俺も背負って生きて行く……」


 血飛沫と共に彼の手にはしっかりと見張りの心臓を握りしめ

 その腕は男の胸を貫通した。


  リアムの体は現世で腕が復元している事で、

 この世界との繋がりを含め、鍛えた力の2倍の力が宿っていた。

 空間を離れてもなお繋がる意識と肉体は修復で力を増す人間の

 超回復を伴いもはや鉄すら簡単に曲がる力を有していた。


  そして暗く静かに、倒れる見張りの血を囲み石が吸い上げる。


 ーー


 次々と盗賊団に裁きを下すリアム


  ある者は腕を捥がれ、ある者は目を抉られ、出血による恐怖

 を味わされる者も、往々にして姦淫により

 ある部分はそぎ落とされた。



 囲い石による諸行と報いの世界の復讐

 逃げ惑う盗賊に襲いかかる岩の顔や地面から伸びる手……

 壁に触る者は、その手を無惨にも食いちぎられた。


 その空間の光景は空に見える色は暗く、薄明るい満月に

 照らされ、淀んだ空気は彼等の血で霧が赤く染まった。



 そして残り3人……ビルドと幹部だけを残した。


 ビルド「悪魔め……」


「こうなったら奥の手を出すか……お前が魔石を使うなら

 こちらとて、奥の手は有るぞ」


 ビルドは懐に隠し持った怨石を取り出した



 《怨石》人の怨念を閉じ込め操る事が出来る石

 持つ者が殺めた者の数と怨石を持つ者の思念を繋ぎ

 亡霊兵を出す事が出来る。


 ビルド「怨石に囲いし魂よ……石の契約により出で祭れっ!」


 石から放たれた魂が無数にビルドを囲い出現した。

 その姿は骸骨で出来ており、微かに半透明な物体である。

 数はおよそ百体。


 しかしその骸達のもの悲しげな雰囲気を漂わせる……


 リアムは静かに手に持ったサーベルを静かに納刀した


 ビルド「ふふふ、この数に観念したか……霊体は別次元の存在

 この世の武器では倒せまいて、

 まして、この数だからのぉ……大人しく惨殺されておくがいい」


 リアム「何か勘違いしている様だな……この空間の世界は

 お前に恨みを持つ者の想念で出来ている」


「そしてこの世界はお前に恨み持つ魂が

 干渉出来る場所で有る事を」


 ビルド「何訳の分からぬ事を!行け!奴を切り刻め‼︎」


 凄い数の亡霊兵が、一斉にリアム目掛けて突進し始めた。


「ぬぉぉぉ……」「ぐぬぉぉぉ……」「シクシク……」


  するとリアムの周りにも、先程の岩の顔や無数の手がリアムを

 守る様にとり囲んだかと思うと、亡霊兵に向かい突進してゆく


 2つの大勢の亡霊が混じり合い、リアム側の亡霊達が

 ビルド率いる亡霊兵を包み込んで行く……


 亡霊兵の命尽きてまで操られる悲しみを、異形にも見える顔や

 手達がまるで優しく会話する様に亡霊兵と混じり合い、

 溶けて無くなるかのように霧散して行く……



 混じり合う亡霊達のその中には知り合いもいただろう、

 愛する者同士でもあったかもしれない、亡霊達の悲しくも、

 安らぎの解放する救いとなりて天に帰る……


 混じり合っては涙する姿に見え、兵は人の姿へと変貌し手や顔

 達もまたそれを包み込む人の姿を朧げに見せては消えて行く……


 ビルド「どどどどうなってんだ!こんな筈では……

 俺の兵が……何故?なぜだーっ!」



 ……



 リアムは言った


「語るに及ばず……お前の罪は彼等が与えるだろう」と……


 その黒き影達は数を増し、ビルドとその幹部2名の身体を

 祭壇へと引きずって行く。


 幹部は祭壇の下で無惨にも引き裂かれ、無言の骸とかした。


  無数の手はボスであるビルドを運ぶ、

 泣き叫ぶビルド・ホーキング


 祭壇に寝かされ暗き影が徐々に近ずく……


 伸びる無数の手は祭壇を囲い這い上がろうと、もがき苦しむ。


 数々の怨念が彼が行ってきた所業の数々を語る……



  ビルドの身体を徐々に覆い始める影達。

 腕に顔に口に形を変えたその報いは、彼の腕の肉を捥ぎ取り、

 指を喰らい、内臓へと侵入して行く。

 跳ねる身体を楽しむかの様に彼を包み

 復讐の歓喜に打ち震えている様だった……


  言葉が出ず、涙が溢れ、子供のような目でリアムに救いを

 求めるビルド・ホーキング。


  己がした事に救いの手は無い。

 彼は人生の中で助けを乞うた人間に慈悲を与えた事は無い。


  ただ己のした事を、ただ同じ事をされるだけ……

 した方とされた方、問答無用でされた者の苦しみ、痛みは

 やろうとしてやった者より、突然の恐怖の中された者の方が

 遥かに大きい。


 彼は最後まで、それを解らずに逝くのであろう……

 自分の事のみに生きる者に真の安らぎは無い。




 リアムはただじっと……その姿を見ていた……











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