8、睡眠
食べ終わり、まだ寝るには早いと思ったがとりあえず部屋に戻ってゆっくりと過ごすことになった。
とりあえず、飛鳥にあてがわれた部屋に集合することになった。当の本人は少し嫌そうだったが、今現在の状況を考えると仕方のないことかもしれなかった。
「中々ハードな一日でしたね」
「ホント、私たち元の世界に帰れるのかな?」
「さぁな」
「というか、私たち突然消えた訳じゃない?向こう騒ぎになってないのかな?」
春香の一言に皆はっとしたが、考えたってどうしようもない。今できることを考えて頑張るのみだ。
「ねぇ、ここに来てどれくらい経ったのかな?」
「どうなんだろう?私達が出ようとした時間が18時よね?」
「でも、こっちとあっちって時間の流れ一緒なのかな?」
「てか、時計とか無いのかな?」
素朴な疑問に、全員で部屋に時計が無いか探すことになった。時計と思われるデジタルの表示の物が所々見受けられた。
「とりあえず、24時間形式なのね」
「というか、もう少しで日付変わっちゃうよ?」
「でも、一人で寝れる自信ない」
「私も」
3人の気持ちはよくわかる。それもそうだろう。時系列が同じならば、こちらに来てまだ6時間しか経っていない。それなのに色々な事が起こりすぎて、どうしたらいいのかわからない気持ちもわからなくもなかった。不安で仕方なく、見知った者が近くにいるだけで安心できる存在だということも…
飛鳥は、慣れるまで一緒の部屋で寝ればいいと提案した。幸いな事にベッドは大きく、大人二人が寝ても十分な大きさだ。残りはソファーか床かどこかに寝なければならない状況だ。
「オレは、椅子に寝る」
「えぇ!?でもここ飛鳥の部屋だよ!?」
「出入り口で即座に動けるように待機したい」
「…でも…」
さすがの3人も飛鳥の心遣いはありがたいが、そこまで迷惑をかけるわけにはいかないと思って反論してみるものの、飛鳥からすれば
「幸いオレの事を男と認識している者は多い。ならば、お前たちと一緒に居るだけでも勘違いが起きてしまうことは間違いないだろう」
「でも、私たちの間柄…」
「私は気にしない!」
「蛍は黙ってろ」
「はい」
目を輝かせていう蛍に、雷を落とす。だが、その理由を知っている2人は、飛鳥の反応が普通だと思った。冗談にしろ、今この場で誤解やもめごと等起こすのは確かに嫌であろう。
「それに、気になることがあるからな…」
「気になること?」
「あぁ」
その神妙なる表情に、計り知れないものを感じた。だが、これ程頼もしいと思える存在は在りはしないだろう。
とりあえず、じゃんけんで誰がソファーで寝るのかを決めることになった。お互いがお互い、譲り合って決まらないからだ。
蛍と美鈴がベッドで、春香がソファーで寝ることになった。とりあえず、各部屋から掛け布団を取って来て横になる。思いの他疲れていたのか、飛鳥という絶対的な存在が合ったためか、彼女たちは直ぐに眠りに落ちたのだった。