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第26話 歌と葵

適当な場所になだれ込むように座り込み、酸素を求める体は自然に呼吸へと移る。

不規則に吹く風は葉のない木々を揺らし、冬らしい冷たさが心地よさを感じさせる。


呼吸が落ち着くと同時に各器官から入ってくる情報を処理しながら立ち上がり、急な事態に備え、鍛造(フォージ)青炎剣(せいえんけん)を、探知(トラック)で現在地の確認・・・という行動に出ようとした時だった。

風がピタリとやみ、さほど遠くない位置から声がした。

少し甘く、憂いを帯びたような・・・柔らかなソプラノ。

・・・いや、これは歌だ。

森の空気も木々も風も、何もかもが、その声が届く範囲内だけ、その声にメロディをつけるように揺れ動き、香りを放ち、花や枝葉をつけていく。

まるでそれが当たり前のように。

声とメロディが合わさり、何とも言えない不思議な歌が鼓膜を震わす。

身体が勝手に発信源へと引き寄せられていく。

嫌気すらないままに、体中がその歌を求める。

この声が、香りが、雰囲気が・・・ひどく懐かしく感じるのは、何故なんだ?

それにこの声は懐かしい以前に、最近どこかで聞いた気がする。

そんな事を頭に巡らせながら、歩みを進めていた。


発信源に近づけば近づくほどに、今の状況の異常さをより感じた。

葉一つない木に葉がつき、花は咲き誇り、実がついた木まである。

冷たく刺すような空気は穏やかな暖かい空気に変わり、小動物や虫までひょっこり顔を出し、木々は声に合わせるようにしてリズムを刻んでいた。

しかもそれがどんどんひどくなっていくのだ。

自然と恐怖心を覚えた。

嫌悪感はなくても、所詮人の子。

感じるものは感じるのだ。


歩いていると突然視界が開けた。

入ってくる光の強さに、思わず目を細める。

段々と慣れてくる目が見たのは、息をのむような光景だった。


青々と茂った草木が辺り一面を緑の絨毯にし、巨大な樹が強い存在感を放っていた。だが、一際目を引いたのはその樹の太い根に腰かけていた少女だ。

輝かしい銀髪は白百合色掛かっており、白髪に近い銀髪で、ストレート。

肩につくぐらいの長さで、前髪を7:3の割合で分け、三割をピンで留めている。

アーモンド型の澄んだ白縹色(しろはなだいろ)の瞳はきめ細やかな白肌と相まって幻想的な雰囲気を作り出し、薄紅色の唇がそこに可憐さを加えている。

人形的な美しさの中に、人間らしい丸みのあるスレンダーな体形。

どっからどう見ても、美少女だ。

白いワンピースにグレーのカーディガンを羽織っただけの格好は近所を散歩していますといった感じで、とてもじゃないが森を歩くには不向きだ。


そんなことを考えながら、じーっと見つめ続けていると、歌い終えたのかホーッと息を吐き、立ち上がった。

不意にこちらに目を向けたかと思うと、


「・・・で、冷夏君は何でここにいるの?」


と怪訝そうに顔をしかめ、少女は俺に声をかけてきた。

その声には懐かしさなど微塵も感じず、かわりに思ったのは何故そこまで怪訝そうにするのかという疑問だった。


「名も知らぬ者に教える義理はない。」


「はあ?知らないも何も昨日会ったばかりでしょ?何言ってるのよ。」


バカみたい、とでも言いたげな態度に困惑しかしない。


「人の顔をまともに見たのはたった数回だ。その中にいた記憶がない。声だけは聞き覚えがあるんだがな。」


「はぁ・・・つまり顔見てないから誰だか分からないってこと?」


そう面倒そうに聞いてきた。


「そういうことだ。だから、名前を教えてくれないか?」


「・・・淡雪 葵(あわゆき あおい)よ。昨日の歓迎会前に恰好整えるの手伝って、会場まで連れてったの。覚えてない?」


人の好さそうな笑みに切り替え、手を差し出してきた。


「ああ、あの時の女か。」


そうぼやきながら、手を取った。

普段しないその行動は、なんとなくそうしないといけない気がしたという曖昧なものからだった。


「話を戻すけど、なんでこの森に来た訳?それにここはこの森の最深部。散策ならここまでくる必要はないはずよ。」


妙に感が鋭いのか、深読みしているだけなのか、そんな問いをまたしてきた。


「トレーニングのためだ。寝ている間に落ちた体力と鈍った感覚を取り戻したいんだ。それにその問いは俺だって聞きたいさ。そんな場所に女一人で何しに来たんだ?あの歌は一体何なんだ?」


疑問だらけの頭は解消したいという欲求のもとに、淡雪を質問攻めにした。


「トレーニングね・・・まあ、いいわ。私がここにいるのは・・・なんとなくよ。夢でいつもあの歌を聴いてるせいかしら・・・無意識にここに来てあの歌を歌ってしまうの。なんだかひどく懐かしく感じるのよ、歌ってるとね。それが心地よいから、この行動を苦に思ったことはないわね。ああ、このことは秘密ね。」


出されたのは小指。


「もちろんだ。人の秘密をべらべらと喋るような趣味はないからな。」


小指に小指を絡め、指切りげんまん嘘ついたら針千本の~ます、指切った!と契りを交わした。



その後、瞬間移動魔法を三回繰り返し、陽だまりの家へと二人で戻った。


なかなか更新できずすいません!

部活にテストにと忙しく、時間が取れませんでした。

キャラがおかしいかもしれませんが、そこはスルーで。


ではまたの機会にお会いしましょう。

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