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第22話 運命の出会いと衣装替え

そんな状態の時だった。

不意に誰かの手が背中を摩った。


「落ち着いて。まずは深呼吸。私に合わせて。」


穏やかで、芯の通った真っ直ぐな声。

その言葉は何故か俺の耳に届いた。


「吸って〜、吐いて〜。吸って〜、吐いて〜。」


突然すぎるその言葉に脳は混乱し、体は本能的に動き出した。


「…すぅ…はぁ……すぅ…はぁ……」


声に合わせた呼吸は少しずつ酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する。

空気の循環が行われると必然的に全身に酸素が行き渡るようになる。

その結果なのか、次第に苦しさは無くなり、激痛も治まっていった。

周りの声はザワザワしていて、視界もクリアになり、呼吸も正常に戻った。


「ふぅ……やっと落ち着いたみたいね。もう大丈夫?痛いところ、ない?」


ほんの少しだけ感じ取れた優しさが俺を安心させる。

本当は溢れんばかりの優しさで満ちている言葉や行動の数々だが、俺にはほんの少ししか感じ取れない。


「…ない……もう、平気だ………あ……」


「あ…?」


安心と不思議が混じった声。

おうむ返しのように、最後の一言を返す。


「…あ…り……が……とぅ………」


消え入りそうな声しか出なかった。

顔だって熱い。多分耳まで真っ赤だ。

そんな情けない姿で初めて言ったセリフ。


「うん、どういたしまして!」


そのセリフはちゃんと届いたみたいだ。

嬉しそうな声はトーンが上がっていた。



「…え?…今、この子……何て言った?」

「…小さすぎてよく聞こえなかったけど。」

「なんか、『ありがとう』って言ってたぜ。」

「マジで?お前よく聞き取れたな。」

「いや、しかし……この子が『ありがとう』って言った時の赤面具合からして…初めて言ったんじゃねーか?」

「うっわ、それならマジでレアもんやん!」

「しかし…一貫して言えるのは……」


(((((((((この子、可愛すぎる…天使か!…ツンデレか!)))))))))


「…だろうね。」


みんなの心の声が一致した瞬間だった。



「とりあえず、お洋服ちゃんとしたものに替えなきゃね。」


コクリ

肯定し、伸ばされた手を握った。


「先生、この子代わりに連れて行きますね。」


「あ、ああ…助かるよ。じゃ、じゃあ…よろしく。」


かなりきょどった声をあげ、男は役割を押し付けた(頼んだ)



さっきの部屋から出て、右左と何回か曲がった時、動きが止まった。


「ここよ。」


コンコンコン

三回ノックが廊下に響く。


「開いてるわよ。」


落ち着いた声がドアの向こうから聞こえてきた。


「失礼します。」


それを合図にドアを開け、入っていく。

俺はなすがまま、部屋に入る。


「じゃあ、早速採寸するからそのパーカーと脱げかけのシャツ脱いで。」


「……分かった。」


仕方なく従い、ぱっぱと脱いだ。

白く細い、しなやかな筋肉質な身体が露わになる。


「…!…ウエストから測るから腕ちょっと上げて。葵ちゃん、記録よろしく。」


「…あ、はい!」


バタバタバタ…


そんな調子で、10分ぐらいじっくり掛けられて、全身をくまなく、測られた。

と、言っても服に必要なところだけなため、指示に従って大人しくしてたら、いつの間にか終わったって感じだが。


「はい、終了。葵ちゃん、記録見せて。」


「は、はい。」


バインダーに挟まれた記録用紙に目を通すこと、約1分。


「…覚えた。じゃ、こっち来て。」


後について、カーテンで遮られた部屋の半分側へと向かった。


シャアッ

勢いよく開かれたカーテンの向こうには…


「うわっ………!これ全部服…?」


大量の服が衣紋掛けに掛けられ、ハンガーラックに吊り下げられていた。

その数、およそ一万。


「ええ、そうよ。さっき測ってる間に魔法で作った…オーダーメイド品よ。」


「これ…全部俺用とか言わないよな…?」


引きつった顔と声で聞いた事は満面の笑みを浮かべた頷きで肯定されてしまった。


「ま、念の為全て試着してもらうけど。葵ちゃん、手伝って。」


「はっ、はいっ⁉︎」


かなり戸惑っていたのか、声が裏返っていた。



着せ替え人形状態で大量の服を試着されられ、疲労困憊になり、試着が終わったかと思えば、今度は風呂&整髪・散髪へ。


脱衣所で身包みを引っぺがされ、腰にタオルを巻くと同時に風呂へ。

身体を泡だらけにされ、くまなく洗われた後、タオル生地のガウンを着させられた。


その後、髪は濡らされ、伸びに伸びた髪を切られた。

巧みな手つきで行われた散髪は、目にも留まらぬスピードで終わった。

腰ぐらいの長さだった髪は肩甲骨の中間あたりまで切られ、大量の髪は梳かれ、さっぱりした。

気づかなかったが枝毛があったらしく、大幅なカットに踏み切る羽目になったそうだ。


切られた後、花の香りが鼻腔を擽るシャンプーとトリートメントでダメージや汚れを取り除く。

ちなみにこのトリートメントは一回するだけで髪のダメージが一掃される魔法加工付きで、お値段はお高めの10万円。

そんなお高いのがたっぷりと使われた髪は、ダメージなどが消え、良すぎるぐらいの髪質に変化した。

きっかり3分で流され、何処から出たか、柔らかいバスタオルで身体中を拭かれ、特に髪は丁寧すぎるほどしっかりされた。


風呂場から脱衣所に戻った俺は渡された服を着た。

ゆったりした白のドルマンセーター(丈長め)、黒のスウェットパンツ、クリーム色のモコモコ靴下と言った装いだ。

サイズもあっており、動きを制限されない事に満足した。


服を着た後は椅子に座らされ、ドライヤーで乾かされた。

櫛を併用し器用に、そして丁寧に行われた。

サラサラ〜

という効果音がついても可笑しくないほどに、髪通りのいい髪はとけばとくほどに、輝きを増し、天使の輪なんて当たり前にできるほど美しく整えられた。


「はい、完成。どんなもんよ!」


満面の笑みを浮かべ、高らかに終了を宣言した。



「本日はありがとうございました。それではこれで失礼します。」


ぺこりと頭を下げ、部屋から出て行った。

行きと同じく手を引かれてる俺は会釈程度で、その場を後にした。


「はい、お疲れ様。」


手を振り、見送ってくれた。



やや浮き足めいた足取りで元の道を引き返した。

…かと思ったら、今度は全て左に曲がっていき、着いたのは先程の食堂だった。


ガラガラガラ…

引き戸を開け、先に中に入った。


「本日の主役、連れてきたわよ!」


うおぉおおおおおおおおおお!


…かなり騒がしいのが伝わってくる。


「じゃ、入って。」


手招きされ、無言で頷き、足を進めた。

今回はサイズぴったりのスリッパなため、コケる心配はない。

少し緊張しているが大丈夫だ。


敷居を跨ぎ、中へ。


すいません!

引っ越し準備で忙しいので、3日に1回ぐらいしか更新出来そうに無いです!

本当にすいません!

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