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5 sideフェルナンド①

ぱきりと小枝が折れた音がして、俺は顔を上げた。


陽を浴びて煌く銀色の髪、ぬけるような白い肌、眼鏡がそれを覆っていてもなお存在感を示す大きな瞳。

俺の……フェルナンド=ダーランドの待ち人である、ローザリア《愛しい人》がやって来ていた。


「フェルナンド様?」


彼女が告げる自分の名前が心地よく耳に響く。


急いできたのだろう、息を弾ませ、眉根をよせている姿は艶かしい。

すぐにでも彼女のもとに駆け寄り、体を抱き寄せてしまいたい。

そして、その小さな顎をとり、赤い唇の奥に俺の舌を……。


って、なに考えているだ、俺!


久しぶりの彼女との接触に、喜びで空まで舞い上がってしまった心を叱咤する。


ローザリアは、目線を彷徨わせ、困惑して辺りを伺っていた。


「ローザリア、遠くまで来ていただいて、すまない」


声をかけるとローザリアは後ろを振り向き、首を傾げる。

俺が近づけば、やはり困った顔で見上げられ、俺は改めて礼を口にした。


---------------------------------------------------------


池の端の東屋に設置されている円卓に向かい合わせで、ローザリアと座っている。


彼女との出会いは、6年前のある貴族でのパーティーだ。


あの時俺は、まだ15歳で、俺のダーランドという名前に擦り寄ってくる人々が酷く嫌でたまらなかった。


そのパーティでも、父や兄と会場に入るや否や大人たちに囲まれ、開放されれば親につながりを持つように言い含められた子供たちが、俺の側にひっきりなしにやって来た。


暫く相手をしていたが、取り囲む少女達のお世辞に嫌気がさし、会場の外の空気に触れに行くことにした。


外へ繋がる扉をあけると、人の熱気で蒸した会場に、秋の初めを感じさせる涼しい風が吹き込んだ。

後ろ手に扉を閉め、一歩踏出した先は広い庭になっていた。


見上げれば、雲ひとつない、満月が綺麗な夜だった。


庭の端に見つけた石造りの椅子に腰をかけ、首元のタイを乱暴に外す。

目的も無く、特段することも無ない俺は、ぼんやりと空を眺めていた。


暫くすると、会場から一人の少女が、庭に繋がる扉を押して出てこようとすることに気づく。


背は低く、淡い青に染められたサテンの生地のドレスから覗く腕や首は、細く白い。

結い上げた銀色の髪に、散る小振りの薔薇の花がとても映えていた。


良いことでもあったのか、嬉しそうな笑顔のまま、音も無く庭への階段を降りる。


その時、羽織っていた白いショールが、強い風にあおられ後ろにたなびくと、まるで羽を震わす妖精のように見え、その幻想的な光景を俺は口をあけて見ていた。


少女は辺りを伺うことなく、一直線に庭の花壇脇に歩み寄ると、すとんとしゃがみむ。


俺は興味が沸き、少女にそっと近づいた。


なにやら植木の間に生えている草を千切っては、観察しているように見えた。


「何をしているんだ?」


少女はびくりと肩を震わせ、ゆっくり首を俺に向け、俺を確認すると体を固まらせた。

そして、その姿に想像していた通りの、可憐な小さな声が口から零れた。


「薬草を、みつけたので見ていたのです」


それが、彼女『ローザリア』と俺の、初めての出会いだった。

201/10/19 誤字修正


フェルナンドの冒険①

*****************

◆令嬢達に囲まれた!

◆令嬢Aの攻撃!

◆令嬢Fの攻撃!

◆令嬢Gは仲間を呼んだ!

◆令嬢H・I・Jがあわられた!

フェルナンド:!!??

フェルナンド:>逃げる

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