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王宮第5庭園は、いけてない。

それは、王宮の東塔に勤める者が口を揃えていう言葉だ。


王宮は中央に大きな庭を抱く形で、長方形に建物がそびえている。


構成は、北に位置する中央塔、東塔、西塔、南塔の4つの建物だ。

私たちの研究室や、学術などの文系は東、政治を司るのは西、王宮の玄関口は騎士団などの体育系の南、王族や偉い人々の住居・執務室は北に位置している。


キャロルから渡されたカードに書かれていたのは、第5庭園。


それは、西塔の裏に位置する小さな森の中にある庭園で、有する池に設置されている東屋からの眺めは、美しいの一言に尽きた。そして、庭を森の木々が目隠しをしてくれるため、人の目を忍ぶ密会などにうってつけの場所だといわれている。


夜になると、辺りから囁く声や奇声が聞こえ、髪を振り乱した女性が月夜に浮かび上がり、得体の知れない水音が鳴り響く・・・と聞いた時、なにそれ怖い!と突っ込んだのは私だけじゃないはずだ。


しかし、東塔の人々に敬遠される一番の理由は、東塔からとても遠いことだ。

運動とは縁遠い私たちが第5庭園まで歩くのは、虐めか?虐めなのか?と思うほどの労力だ。


これで行って誰も居なかったらどうしてくれようか。


時間の余裕を持って職場を出たが、そろそろ約束の時間だというのに、道のりの3分の2も進んでいない。


早足で歩けば、すぐに息が上がり始めた。


漸くたどり着いた庭園の入り口で、辺りを見回す。


昼中から密会を行う者はいないらしく、北から吹く池の湿気を含んだ風が、優しく私の頬を掠めていき、後ろの木々をざわつかせた音だけが聞こえた。


東屋に人影を見つけ、恐る恐る近づいてみる。


騎士のマントをつけた、背の高い男性のようだった。

俯いている為顔はわからない。


私がぱきりと足元の小枝を踏んだ音に、その人は顔を上げた。


「フェルナンド、様?」


あの美しいお姿は、フェルナンド様だ。

まさか、フェルナンド様が昼真から誰かと密会?


そうであるならば、彼の待ち人と鉢合わせする前に、私は『私の』待ち人を見つけ、ここを去ったほうがいいだろう。


だが、この庭園に見える範囲で他に人影がない。


え?

『フェルナンド様』と『私』以外、人影がない?!


「ローザリア、遠くまで来ていただいて、すまない」


フェルナンド様が、こちらに向けて声を掛けた。


私は思わず後ろを振り向いた。

ほら、偶然同名のローザリアさん、フェルナンド様が呼んでますよ。


しかし、そこにあるのは、穏やかな光が差す森の姿だけだ。


若葉を踏みしめる音が近づいてきて、人物を見やれば、しっかりと、私を見つめている。


「ローザリア、来てくれて、ありがとう」


ゆっくりと、確実に、私に向けられたその言葉で、どうやら、私の待ち人は、このフェルナンド様で間違いないようだった。

2014/10/15 誤字脱字修正


ローザリアの冒険

***************

◆フェルナンドが現れた!

ローザリア:>逃げる

◆逃げられない!

◆フェルナンドは様子を見ている

ローザリア:>逃げる

◆フェルナンドに先回りされた!

◆フェルナンドは様子を見ている

・・・つづく?

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