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フェルナンド様に別れを告げた後、彼は私の前に現れなくなった。
遠くから私を見つめる姿を何度も見つけたが、以前のように近くにやってくることはなかった。
私たちの変化に気づいたキャロルは何も言わず、私の側にいてくれた。
気の沈む日々を過ごし、あっというまに約束の週末がやってくる。
立派な玄関をくぐるとキャロルが仁王立をして待っていた。
そして、先日出会った令嬢顔負けのセリフと迫力で出迎えられる。
「あなた、ここを何処だと思ってるの?」
間違いなくキャロルの実家であるダーランド本宅のはずだ。
「キャロルの屋敷ではないの?」
「じゃあ、な、ん、で『研究室の制服』を着てるのよ!」
「借金で洋服も売り払ったから、一張羅がこれしかなくて」
「・・・そうだったわね。怒って悪かったわ。着飾ったローザリアを見れるかと思って期待してたの」
私がへらりと笑って言うと、キャロルは手を額にあてて首を振った。
そして、私の後ろに隠れる妹を見やる。
「そちらが、フローラ?」
私はフローラを横に並ばせ、挨拶を促す。
フローラの洋服は、質素ではあるが少女らしい若緑色のワンピースだ。
私はどんな格好をしてどういう風に見られてもよかったけれど、大切な妹であるフローラだけは、ずっと令嬢のままでいてほしかった。だから、借金で色々なものを売っていったが、フローラのものだけは一番後回しにしのだ。
フローラが、令嬢のお辞儀をとり謝辞を述べる。
「本日はお招きいただき、ありがとうございます。ローザリアの妹のフローラ=マーティンと申します」
さらりと腰まで伸びた金色の髪が揺れる。
瞳から覗く紫色は、宝石のように美しい。
顔立ちは優男の父に似て保護欲をそそる可憐な作りをしている。
キャロルの顔が見る見るうちに輝きだした。
「可愛い過ぎる! こういう妹がずっと欲しかったの! わたくしのことはキャロルお姉様と呼びなさい!」
はしゃぐキャロルに妹は再び私にぴたりとくっつき、不安そうな顔で私を見上げた。
「さぁ、2人とも私の部屋へきて頂戴。飛び切り美味しいお菓子を用意したのよ!」
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あ、あれ、私、お菓子を食べるはずだったんだけど。
どうして、従者の人々に囲まれて洋服を剥かれようとしているだろう。
なぜか、フローラとは別の部屋に通されると、部屋の中に従者の女性達がずらりと並んでいた。
「さあ、こちらへ。キャロルお嬢様よりローザリア様をおもてなしするよう言いつかっております」
そう言われて、手を引かれるまま女性達についていく。
ど、どちらへ連れて行かれるのでしょうか、私。
洗面所と思しき場所に入ると、目の前の女性が私の上着のボタンを外し始めた。
別の手がズボンを下ろし、コルセットを外され、最後の砦である下の布まで剥ぎ取られる。
そして、お風呂で念入りに洗われた後、とても貧乏貴族では手に出来ない様なドレスを着せられ化粧をされた。
もちろん、私は終始抵抗した。
しかし、
「まぁまぁ大人しくなさいませ、小さな妖精さん」
(うっとりした顔で、熱っぽい視線を送られる)
「この肌の吸い付つく感じ、ずっと触っていたいわ」
(肌をサワサワされる)
「手に余る大きさも坊ちゃん好みね」
(む、胸を揉まれる)
「みて!このくびれとお尻の小ささ」
(腰と尻を撫で回す)
という、次々と女性達から繰り出される攻撃の前に、私の抵抗は意味を成さなかった。
無我の境地に達した表情の私が映る鏡の中、最後の仕上げに結った髪に小さな薔薇を散らされた。
女性達は、やってやったぜ! と達成感一杯の顔で頭を下げ、部屋を出て行く。
誰も居なくなった気配に一息ついて、鏡の中の自分を確認する。
まるで別人がそこにいた。
顔を覆う眼鏡は外され、ばさばさの睫にいつもより大きく見える瞳。
唇にはきらきら光る桃色の口紅が、うっすら引かれていた。
大胆に胸元が開いた生成りのドレスは、装飾を最低限に抑えられた作りにより、品の良さを醸し出していた。
自分の体からは、花の香油の香りが心地よい程度に香っている。
変われば変わる物だと横を向いたり回ってみたりしていた時、がちゃりと部屋の扉が開いた。
従者の報告を受けて、キャロルがやってきたのだろうか。
「キャロル?」
そういって、振り向いた先の相手を見つけて体が固まった。
そこには、一番会いたくない人であるフェルナンド様が、驚愕の表情で立っていた。
2014/10/13 一部内容修正
ローザリア劇場
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◆RIARUぱふぱふ
メイド:「お姉さんが、ぱふぱふしてあ・げ・る☆」
ローザ:「化粧ですよね?」(念のため)
メイド:「ふふふ、ちなみに本編はガチのR15仕様よ?」
ローザ:「!?」
◆暗転。ぱふ、ぱふ、ぱふ。ライトアップ。
メイド:「またいらしてね」
ローザ:(ゲッソリ)




