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自重しない初陣 其の四

地竜討伐完了から四日後、敵軍が2kmほど先で陣を張ったと、報告が入った。

六万の内、騎兵は五千のみ。

この辺りの地形は、起伏が激しいから、騎兵が少ない軍が担当しているのだろう。


対する我が軍は、地竜討伐によって、一万一千まで数を減らしていて、怪我人も多い。

徴発され、ろくな訓練もせずに連れてこられた農民が多かったようだ。

地方軍を率いる将軍格の貴族達は、なんか泣きそうになってた。


「殿下の麾下が、相対するとの事でしたが。」


軍議の席で、そんな泣きそうな貴族が、俺を恨みがましい目で見ながら言ってきた。

理屈が通ってりゃ、俺が縮こまるとでも思ってんのかね。


「地竜討伐に十日もかかって、随分と態度が大きいな。一千で、四日も足止めしたんだ。充分だろ。」


実際、心からバーボロスを大したものだと思っている。

俺は個人能力なら、既にこの世界が消滅するまで最強であり続ける自信があるが、軍同士の戦いの指揮は、まだやった事がない。


「しかし、被害は既に甚大。士気もこれ以上ないぐらいに落ちております。このままでは敗戦は必至かと。」


うん、俺、今日は結構我慢した。

もう充分だろ。


喋っていた貴族の腹を、魔力の塊でぶち抜く。


「他に、言いたい事があるやつは。」


血を噴き出し、濁った悲鳴をあげて崩れ落ちるおっさん。


「い、意見を具申しただけで、処断とは!」


この俺に、唾飛ばしながら怒鳴りつけるとは、中々気骨のある男だ。

ちょっと本気でのたうちまわらせたい。


「一つ、我が軍の任務は、敵軍の足止めである。」


男の耳が、吹き飛んだ。


「一つ、たかだか地竜討伐で犠牲を出したのは、貴様らの責任だ。俺の麾下は六万に一千で対し、一人の死傷者も出していない。」


男の鼻を、風の刃で削いだ。


「一つ、士気の低下は、貴様らの兵糧及び軍装や報償の着服が第一の原因だ。その証拠に、貴様らの手が及ばない近衛は、それほど士気を落としてはいない。むしろ、地竜討伐の報償で士気を上げている。まぁ、物的証拠も抑えてあるが。」


男の眼が零れ落ちた。

気絶など、ショック死などさせない。

欠損が治癒しない治療魔法で、痛みだけは残して治療し続けてる。


「貴様達の罪を挙げるとすれば、軍務不服従、即刻晒し首。軍務怠慢、棒打ち五十回。俺に対する誹謗、つまり不敬。棒打ち五十回のち十五日間の磔。軍備品着服、即刻晒し首。数人で共犯しての謀反計画、一族郎党晒し首。まだ、いるかね?諸君。」


菩薩の笑みで、芝居がかった口調で解説し、質疑応答に移ったが、手を挙げる者はいない。

男の情けない呻き声だけが、辺りに響く。


「なぁ、お前ら、誰に口を聞いているのか、よく考えてから、ものを言えよ。俺は、お前ら全員を塵にしてもかまわんと思ってるんだからな。いや、心の底から、本当に。」


これ以上ないぐらい、態度で示してきた筈なんだけどなぁ。


「それをしないのは、後がめんどくさいから、それだけだ。よく覚えておけよ。お前らは、俺の気分で生かされてるんだぞ?」


貴族達は、青褪めるを通り越して、土気色になっている。

自業自得だ。


「なら、今後の指示を出す。一月、この場所に留まる。軍旗を引き締め、一月の間、各軍交代で調練を行い、一月後、この戦争は終わりだ。」


「陛下から、何かご指示が」


言った貴族の頭を、汚い花火にした。

もう、めんどくさい。

とりあえず、理由が出来たら、これからは皆殺しにしよう。

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