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女の子と犬

作者: 悲傷
掲載日:2013/06/03

 初めて童話というものに挑戦してみました。力不足かもしれません。

その女の子は歩くことができません。

赤ちゃんのときから足に病気がありました。

だから、女の子は歩くことができません。車椅子にのって、ガタガタ、ガタガタと、車みたいに動くことしかできません。


そんな女の子に、お医者さんは言います。歩けるようにしてあげるよ。君は歩けるんだよ。

大きいめがねをかけた、優しそうなお医者さんの言うことを聞けば、女の子は歩けます。走れるようにだってなります。

でも、女の子はそれをしません。歩けるようになりたくないからです。歩けなくてもいいと思っています。だって、歩いたことがないからです。歩けなくっても、不便と思ったことはありませんでした。

下に物を落としたら、車椅子の側につけているなが~い棒で取ればいいのです。

階段を登れないのなら、エレベーターを使えば良いのです。

エレベーターがなかったら、諦めたらいいのです。

急いでいるのなら、早めに行動したらいいのです。


女の子は足の病気を治したいと思ったことはありませんでした。


でも、ちょっとだけ憧れていました。

女の子が大好きなテレビがありました。

ヒーローが悪い奴と戦う物語です。

飛んだり、撥ねたり、走ったりする姿が大好きでした。

だから、治そうとは思いませんでした。

そのヒーローに、ずっと憧れていたかったからです。



ある日、女の子は散歩をしていました。

車椅子の車輪を、ガタガタと腕で回しながら、お散歩です。

今日も太陽さんが空を跳んでいる。

お花さんは動けないのに、元気そうだね。

毎日合っているお花さん達とお話しながら、女の子は道を右に曲がります。


フワフワがありました。

女の子はフワフワを見つけました。

白いワタアメみたいで、モジャモジャの毛が生えた生き物。

女の子の手に収まっちゃいそうなほどちっちゃい犬でした。

女の子はすぐにその犬が大好きになって、家につれて帰りました。


女の子は犬と友達になりました。

毎日一緒に寝て。

毎日一緒に御飯を食べて。

毎日一緒に散歩に出かけて。

毎日が太陽みたいに明るくて、お花さん達みたいに綺麗でした。


でも、段々と楽しくなくなってきました。

犬は床に落ちたものをサッと拾います。

犬は階段をトントンと上がっていきます。

犬は走ったらとっても早かったんです。


女の子は犬が嫌いになりました。

毎日一緒に寝なくなりました。

毎日一緒に御飯を食べなくなりました。

毎日一人で散歩するようになりました。

毎日が雨みたいになって、お花さん達が姿を隠してしまいました。


女の子は犬と会いたくなって、家に帰りました。

フワフワをすぐに見つけて、抱きしめました。

ペロペロ。

犬は女の子の顔をなめてくれました。

とってもくすぐったかったけれど、女の子は犬をナデナデしてあげました。


それからの毎日はもっと明るくなりました。

寝るときも、御飯を食べるときも、散歩をするときも一緒です。

床に物が落ちたときや、階段を上がる犬を見たときは、ちょっとさびしくなります。

タッタッタッと走る犬は眩しかったです。


そんな犬が可愛くて、公園にまでお散歩に行きました。

ちょっと遠いけれど、犬と一緒ならへっちゃらです。

女の子はガタガタと、犬はタッタッタッと公園をお散歩しました。

犬が急に走り出しました。何か見つけたみたいです。

口にくわえて、戻ってきました。

女の子は、犬からそれを貰いました。

壊れた玩具でした。でも、女の子はとっても嬉しかったんです。

憧れのヒーローのお人形だったから。

嬉しくって、犬をナデナデしてあげました。

犬もペロペロしてくれました。

その日は、たっくさん、ナデナデとペロペロをしました。


それから何回か、お散歩しました。

女の子は犬とお散歩ができなくなりました。

犬が動けなくなっちゃったからです。

大きな穴の中に入った犬は、上から土をかけられても、動きませんでした。


女の子は、犬が眠っている場所から動きませんでした。

タッタッタッ。

そんな音が聞こえてくる気がしました。

犬から貰ったヒーローのお人形。

女の子は、それをギュッと握り締めました。

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