幸福
流血表現はありませんが、少しだけ、作者が狂っています。
苦手な方はブラウザバック推奨。
“バキッ”
私の手元では、鉛筆が真っ二つに折れている。
今週で既に10回は折っただろう。
「また、折っちゃった……」
誰もいない部屋に一人呟くと、折った鉛筆を削って筆箱にしまう。
使って、折って、削って……繰り返すうちに鉛筆は短くなる。
それでも折れるなんて、自分自身が恐ろしい。
「ハァ……」
思わず、溜め息をつく。
分かっているのだ。
鉛筆が折れる理由なんて。
そんな時に、耳に入れたイアフォンから私の好きな声が聞こえてくる。
――――――――――全てはまた輪廻のもとに――――――――――
ねぇ、もし貴方の言う通り、輪廻転生をするのなら、
何処かの世界で私は貴方に会う事は出来るのでしょうか?
私が鉛筆を折る理由―――――それは恋煩いと嫉妬。
決して、アーティストに叶わない恋をしているとか云う訳ではない。
実際はもっと深刻だ。
私が好きなのは、世界には存在し得ない………アニメのキャラクターなのだから。
そして私は、漫画の中で、液晶の中で、彼の隣にいる女性キャラクターに嫉妬する。
隣で微笑んでいるのが。
彼に心配されるのが。
彼に可愛いと言われるのが。
全てが羨ましくて、全てが妬ましくて、全てを壊したい程憎い。
彼女達を壊してしまえば、貴方は私を見てくれる?
その綺麗な瞳で、私を睨んで壊してくれる?
そんな終わり方も良いのかもしれない。
そう思っている私は、狂っていて、病んでいて、でもきっと世界で一番の幸せ者。
――――――――幸福
(だって、それだけ彼を愛せてるって事でしょう?
液晶の向こうだなんて関係ないわ)