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第8話:浪士組の募集
江戸の街に清河八郎という策士が現れた。彼は将軍警護を名目に、腕に覚えのある浪人を集める浪士組を結成したいのだ。一旗揚げたい者たちが色めき立つ中、試衛館の近藤勇は、道場の奥でガタガタと震えていた。
「トシ……京都なんて危ない所に行ったら、間違いなく生きて帰れないよ」
近藤は必死に拒絶したが土方は、清河の掲げた看板を利用しようと企む。
「勇、これはチャンスだ。清河という男がお前を売り出す立派な箱を用意してくれたんだよ」
土方は無理やり、近藤を門下生たちの前へ突き出した。
近藤は、あまりの恐怖に全身を激しく震わせた。必死に、行きたくない!と言おうとしたが、喉が引き攣って声にならない。
「……っ、う、ううっ……!」
その、歯を食いしばりながら戦慄する近藤の姿を見て永倉や原田は感極まった。
「見ろ、近藤先生の武者震いを! 幕府の危機を前に戦いたくて身体が勝手に震えておられるんだ!」
門下生たちの熱狂に押し切られ、臆病な男の京都行きが本人の意思を無視して決定してしまったのである。




