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第6話:大地を喰らう豪傑

多摩の実家から泥つきの大根が届いた。食糧難の試衛館には宝の山だが、近藤は嬉しさのあまり大きな大根を丸かじりして喉に詰まらせてしまった。

「……っ、んぐぐっ!」

顔を真っ赤にし、目を剥いて床を叩き悶絶する近藤。その姿を道場の外から覗き見る二人の男がいた。

一人は喧嘩っ早いが人情に厚い神道無念流の免許皆伝、永倉新八。もう一人は短気で豪快、腹に大きな切腹傷を持つ槍の使い手、原田左之助だ。二人は、食い詰め浪人だが腕っぷしだけは江戸でも指折りだった。

二人は道場で悶絶して転がり回り、大暴れする近藤を見て息を呑んだ。

「……見ろよ左之助、あの御仁を。大根を泥ごと喰らい大地を叩き割ろうとしてやがる」

「凄まじいな新八、まるで土の力を己に取り込んでいるようだ。あんな豪傑、江戸のどこを探したっていねえぞ!」

大根をようやく飲み込み涙目で天を仰ぐ近藤の姿は、彼らには食い足りぬと言わんばかりの不敵な構えに映った。

「近藤勇……。面白い、あの男に賭けてみるか」

二人が試衛館の門を叩いたのは、その直後のことだった。近藤は「またただ飯食らいが増える……」と絶望したが二人の目にはそれが頼もしい仲間を歓迎する静かなる覚悟に見えていたのである。

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