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第44話:再起という名の強がり

勝沼の惨敗後、屯所はまるでお通夜のような静寂に包まれていた。近藤はボロボロになった羽織に顔を埋め、土方の足元で泣きじゃくった。

「トシ、もうおしまいだ。看板を下ろしてくれ、もう怖いのは嫌なんだよ……」

近藤は敗北の恐怖に打ちひしがれ、心からの撤退を願っていた。

だが、その横で土方は新調したフランス軍服の袖を何度もまくり手鏡で自分の横顔を確認していた。

「何を言ってやがる。これは敗北じゃねえ、敵の裏をかく戦略的後退だ。それより勇、このブーツ、やっぱり黒より茶色の方が良かったかな?」

土方は悲惨な現実よりも、新しい自分の司令官としての見栄えに心を奪われているようだった。彼はそのまま外へ飛び出すと、うなだれる隊士たちに向かって近藤の号泣をこう宣言した。

「皆、見ろ! 局長は今、屈辱を糧に次の一手を練っておられる。あの涙は、倍返しへの誓いだ!」

隊士たちが「流石は局長だ!」と勝手に奮起する中、近藤は「違う、ただの腰抜けの涙なんだよ!」と叫びたかったが、一人だけ新しい服の匂いをさせて悦に浸る土方のかっこつけの勢いに、ただ絶望の声を飲み込むしかなかった。

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