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第40話:不動の局長と勝海舟

江戸へ戻り幕府の命運を握る重臣、勝海舟との会談。近藤は、あまりの緊張に全身が彫刻のように硬直していた。椅子に座ったものの、腰が完全に抜けてしまい自分一人の力では指一本動かすことができない。

「……立ち上がれない。勝先生の前で、腰が抜けたなんてバレたら切腹だ。このまま固まっているしかない!」

近藤は顔を真っ青にしながら、必死に落ち着いているフリをして勝をじっと見据えた。

その様子を見た勝海舟は、内心で舌を巻いた。

「へぇ……こいつは大したもんだ。俺の威圧感に気圧されるどころか一言も発さず、岩のように座っていやがる。これほど据わった男は、江戸にもそうはいねぇな」

勝は、近藤の動けない失態を相手を値踏みする大物の風格だと完全に誤解した。

「よし、気に入った。近藤さん、あんたに甲府を任せるよ。その不動の構えで敵を追い返してきな」

近藤は「……本当は今すぐトイレに駆け込みたいんだよ!」と心の中で絶叫したが、あまりの硬直で返事すらできず、ただ深く「……うむ」と唸るしかなかった。その一言がまた、勝には「自信に満ちた承諾」と聞こえ絶望の勝沼出陣が決まってしまうのであった。

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