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第4話:源さんの助言

「たのもーっ!」

試衛館の静寂を破り、筋骨隆々の道場破りが乱入してきた。近藤は案の定、奥の部屋でガタガタと震えていた。

「トシ、来たよ。本物が来た……僕、あんな強そうな人と戦ったら、一突きで串刺しにされちゃうよ」

「落ち着け勇。お前はただ、黙ってあいつの前に座っていろ」

土方に背中を突き飛ばされ、近藤はふらふらと道場の中央へ。恐怖のあまり顔は真っ青、眉間の皺は普段の倍以上に深く刻まれている。

その異様な形相に、道場破りも思わずたじろいだ。

「……お、おぬしが近藤勇か。その殺気、ただ者ではないな」

そこへ、試衛館の最年長で誰よりもおっとりした性格の井上源三郎が、心配そうに駆け寄ってきた。通称源さん、剣の腕は正直そこそこだがその生真面目さと優しさは道場随一だ。

源さんは、近藤の耳元で「優しく、ゆっくり」と囁いた。

「勇さん、落ち着いて。いいですか、落ち着いて……」

しかし、近藤があまりに巨大な絶望のオーラを放っていたため、総司や道場破りの耳には、源さんの言葉がこう変換されて響いた。

「勇さん、押し潰して。いいですか、お命頂戴して……」

「な、何を!?」

道場破りが驚愕して飛び退いた瞬間、近藤は恐怖で意識が遠のきツルリと足を滑らせた。そのまま前方へ倒れ込んだ近藤の硬い頭が偶然にも相手の鳩尾に激突した。

「ぐはっ!」

一撃で悶絶する道場破り。それを見た総司が手を叩いた。

「さすが近藤さん! 源さんの合図一つで仕留めるなんて、余裕ですね!」

源さんもニコニコしながら、倒れた近藤の背中を撫でた。

「勇さん、落ち着けましたねぇ。よかったよかった」

「トシ……今の倒れて転んだだけなんだけど」

「いいんだよ勇。源さんが行けと言って、お前が道場破りを倒した。それだけでこの道場の強さは、証明されたんだ」

土方は、気絶した相手を横目に手際よく片付けの指示を出すのであった。


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