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第33話:武田観柳斎の最後

武田観柳斎が薩摩と通じているという噂が流れた。近藤は、武田に懐かれていた時期の鬱陶しさを思い出しつつも、やはり情が移っており、彼を逃がそうと策を練った。

「……武田さん、今夜はあっちの道を通って帰りなよ。あそこは暗くて、人目にも付かないから、きっといいことがあるよ(=逃げて!)」

近藤は、せめてもの親切で「逃げ道」を教えたつもりだった。

しかし、武田はその言葉を聞き、顔を真っ白にした。

(……あっちの道? 斎藤一が待ち伏せしているという、あの死のルートか。局長は、私が裏切ったことをすべて見抜き、あえて『死に場所』を指定されたのだ。ヒ、ヒイッ!)

武田は、近藤の「慈悲の提案」を「処刑ルートの指定」と完璧に読み違え、恐怖のあまり腰を抜かして這いつくばった。

「……お、お許しを! 全部お見通しだったのですね!」

武田が半狂乱で謝罪する姿を見て、近藤は(……えっ、何を許すの?)と困惑したが、その場に現れた斎藤一が「合図、受け取りました」と冷たく言い放ち、武田を闇へと連れ去った。

近藤は(……僕、ただの道案内をしただけなんだけどなぁ)と、再び自分の不用意な一言が招いた「粛清」に、深く溜息をつくのであった。

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