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第31話:油小路の変(前編)

伊東一派との関係を憂いた近藤は、彼らと仲直りしようと土方に内緒で伊東を酒宴に誘った。

「伊東さんと昔みたいに、よく分からない理屈を語り合って仲直りしたいんだ」

近藤は空き腹のまま再会を喜び、秘蔵の酒を景気よく流し込んだ。だが土方はその裏で完璧な暗殺計画を組み立てていた。

「いいか勇、お前が酒で足止めしている間に外で伊東を仕留める。絶対に部屋から出すなよ」

土方の冷酷な作戦を近藤は「親友として引き止めろ」という意味だと都合よく解釈し、やってきた伊東に対し「さあさあ、今日は帰さないよ!」と満面の笑みで酒を注ぎ続けた。

伊東はその「帰さない」という言葉を「生きては返さない」という宣告と受け取り、絶望して震える手で杯を干した。

宴もたけなわ、近藤が中座した隙に待ち構えていた刺客が伊東を仕留めた。戻ってきた近藤は、もぬけの殻の座敷を見て首を傾げた。

「あれ? 伊東さんは?」

土方は刀を拭いながら「満足して帰ったよ」と冷たく告げた。近藤が「よかったぁ」と安堵したその頃、表では伊東の遺体が晒され地獄の夜が幕を開けたのである。

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