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第27話:総司の咳、局長の乱

一番隊組長、沖田総司が激しい咳と共に倒れた。それを聞いた近藤は、顔面を土色にして屯所内を走り回った。

「総司! 死ぬな、死んじゃ嫌だ! 誰か、誰かお医者さんを! 氷だ、いや、お餅を焼くか!? 何をすればいいんだ!」

近藤はパニックのあまり自分の袴を履き忘れていることにも気づかず、涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにして狼狽えていた。

しかし、土方はこの混乱を瞬時に利用した。隊士たちの前でワザと神妙な面持ちで言い放った。

「……見ろ……局長は、沖田の病を招いたこの時代の不条理に声も出せないほどの怒りに震えておられる。あの激しい足音は、運命を蹴散らそうとする武神の足音だ」

隊士たちは、半狂乱で走り回る近藤の姿を静かなる怒りが爆発した、近寄りがたい修羅の姿と見なし恐怖で直立不動になった。

「総司、死んじゃダメだー!」という近藤の絶叫は、隊士たちの耳には「総司よ、敵を道連れにする事なく死してはならぬ!」と勝手に解釈されて新選組の士気は過去最高に高まった。

土方は、泣き喚く近藤の口に布を横目で見ながら「いいぞ勇、その調子で馬鹿みたいに叫んでろ」と冷たく微笑むのであった。

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