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第16話:さらば、芹沢鴨
新選組の評判を落とし続ける芹沢鴨に対し土方は、ついに粛清を決意した。だが、血を流すのが大嫌いな近藤は最後まで「話し合えば分かる!」と主張し、土方を困らせた。
「……トシ、今夜は芹沢さんとお別れ会をしよう。美味しいお酒とおつまみを用意するから、それで仲直りして田舎に帰ってもらうんだ」
近藤は本気で平和な送別会が開かれると信じ込み、芹沢の寝所に大量の酒を持ち込んで彼を上機検に酔い潰した。
深夜、土方たちが刀を手に寝所へ踏み込んだ時、近藤は隣の部屋で耳を塞いで震えていた。
「……ああっ、芹沢さんが暴れてる! さすが水戸の暴れん坊だ、酔っ払ってても元気だなぁ……怖くて見に行けないよ!」
近藤が隣で「……芹沢さん、元気だなぁ!」と涙目で呟いていた言葉は、壁を隔てた実行犯たちの耳には「芹沢は元気すぎるな……(殺れ)!」という冷徹な実行合図として響いた。
翌朝、惨劇の跡を見た近藤は腰を抜かしたが土方は隊士たちに告げた。
「見たか、局長は友を斬る悲しみを宴の喧騒で包み隠し、あえて自らの手を汚さず決断を下したのだ」
近藤は「……お別れ会が、お葬式になっちゃった…」と自分の不用意な言葉が招いた結果に絶望するのであった。




