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第12話:入隊の覚悟
壬生浪士組の名が京に知れ渡るにつれ、入隊を希望する浪人たちが屯所に殺到した。しかし、近藤は極度の人見知りの限界を迎えていた。知らない男たちが次々と部屋に入ってくる恐怖に耐えきれず、ついに彼は叫んだ。
「もう来ないでくれ! 誰も入れるな! 僕は一歩もここを動かないぞ!」
近藤は半泣きで部屋に引きこもり、内側から襖を力一杯押さえて誰の侵入も許さなかった。
だが、この極度の拒絶が門前の浪人たちには凄まじい試練として伝わった。
「聞いたか? 近藤先生は、生半可な覚悟の者は一人も入れぬと仰っている。あの襖の奥から漏れる、凄まじいまでの拒絶の気迫……あれは選別だ。真の強者しか認めぬという、厳しい入隊試験なのだ!」
門を叩いても追い返され近藤の「嫌だ!」という悲鳴を不適格者への一喝と勘違いした浪人たちは、逆にと熱狂。志願者は減るどころか、倍増してしまった。
土方はニヤリと笑い、襖越しに震える近藤へ声をかけた。
「いいぜ勇、お前の頑固な引きこもりが最高のブランディングになってる。このまま隊士の質も数もうなぎ上りにしてやるよ」
近藤は「……もう、僕の居場所がなくなるよ!」とさらに深く膝を抱えて震えるのであった。




