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第9話『見えない敵』
夜の校庭。街灯の薄明かりが地面に影を落とす中、微かに揺れる気配があった。カイは未来音に耳を澄ませる。
「影…近づく」
リョウが不安げに振り返る。
「何も見えない…本当にいるのか?」
カイは深呼吸をひとつ、鼓動を整える。見えない敵の存在は心理に緊張を生むが、仲間を守る責任感が判断力を支えていた。
未来音が小さく囁く。「左…右…速さは予測不能」
カイは瞬間的に動き、リョウを影から引き離す。風が巻き、木々の葉がざわめく。小さな足音が校庭を駆け抜けるたび、緊張が増す。
ユナが現れ、低く声をかける。
「その影、私も感じるわ」
カイとユナは互いに目を合わせ、無言で頷く。目に見えぬ敵に対しても、連携が必要だ。
遠くで黒瀬の影が微かに笑う。
「目に見えぬ敵…これも試練の一つ」
カイは握り拳を固める。小さな予兆が、次の大きな波の始まりを告げていた。




